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ショーパール「アルピネ エア」の“丹霞紅”こそが、究極の“チャイニーズ・レッド”である

近年の時計界で、一味違った“東洋の赤”を探してみましょう。そう言われて真っ先に思い浮かぶのが、このショーパール(Chopard)が手がける「アルピネ エア(雪山傲翼)」シリーズの“丹霞紅”です。
この時計のインスピレーションは、中国・張掖(ちょうえん)にある丹霞地形。層状に彩られ、炎のように赤く燃える山々の美が、今、文字盤(ダイヤル)という一枚のキャンバスに凝縮されました。
これは単なる“赤い文字盤”ではありません。機械式時計が持つ精密な言語で、自然の美しさを再解釈した、まさに芸術作品なのです。
スイスの技術と中国の自然が融合した一品
ショーパールが今回発表した“丹霞紅”は2種類。ひとつは「Lucent Steel™」精鋼(セラミックスチール)の限定88本です。
そして、今回私たちが注目すべきは、その上位に君臨する18Kローズゴールド(ピンクゴールド)モデル。その限定数はわずか33本(型番:295363-5014)であり、もはや時計を超えたコレクターズアイテムと言えるでしょう。
「アルピネ エア」というシリーズは、決して突然生まれたものではありません。1970年代、同ブランドが発表した初のステンレススチールスポーツウォッチ「St. Moritz(サン・モリッツ)」がその源流です。
それを現代の視点で再解釈し、より洗練された外観と理念を与えたのが、2019年に登場したこの「アルピネ エア」です。
アルプスの雄鷹(イーグル)の眼差しから着想を得たこの時計は、シャープで清潔感があり、それでいてショーパール特有の芸術的な温かみを宿しています。
文字盤の紋様は鷹の虹彩(こうさい)を模しており、ケースのラインは光を反射して金属の輝きを放ちます。これはまさに、自然と力強さに敬意を表した、同ブランドの製表言語なのです。
そして“丹霞紅”は、この自然への賛歌をさらに一歩先へと運んでくれます。アルプス山脈の冷たさから、張掖の丹霞の熱情へ。このような異文化・異地域の融合こそが、ショーパールが長年得意としてきたロマンチックな表現です。
見惚れる“丹霞紅”のディテール
41mm径、厚さわずか9.7mmのケース。そこに輝く18Kローズゴールドの温かみと、丹霞紅の暖色が見事に調和し、このスポーツウォッチに“意図しないラグジュエリー”のような雰囲気を漂わせています。
ベゼルを固定する8つのネジは、それぞれケースのラインに合わせて正確な角度が付けられています。
そして何より目を引くのが、この文字盤です。まるで陽光に照らされた丹霞地形の断面を切り取ったかのような、非常に高い彩度の赤。しかし、安っぽさは微塵も感じられません。
黄銅をベースに電着処理を施し、さらに層状の放射状サンレイ・パターンを圧印。この紋様こそが、鷹の眼の虹彩を模したもので、細部に自然の秩序と張力が宿っています。
文字盤上のインデックスと針はすべてゴールドメッキされ、Super-LumiNova® Grade X1の発光塗料を塗布。暗所でも時間を正確に読み取れます。
注目すべきは秒針の先。そのバランスウェイトは、鷹の羽根を模した細かい仕掛けです。シリーズテーマに呼応しつつ、文字盤に動きを与える絶妙なアクセントとなっています。
4時と5時位置の間には日付窓。赤地に黄色の文字が、文字盤全体と見事に融合しています。

裏からも楽しめる高水準フィニッシュ
裏蓋はサファイアクリスタルガラスで底抜け仕様。機械式時計の内部構造を垣間見ることができます。
バランスホイールは4本スポーク設計で、マイクロレギュレーター付き。ムーブメントの夾板(シャバン)には放射状のジルコニア紋(ジュネーブストライプ)が施され、エッジのリューズ加工は繊細で、ネジ頭は滑らかに磨かれています。
ショーパールは細部へのこだわりを惜しみません。肉眼では見えにくい部分であっても、一貫した高水準を維持しています。
自社製ムーブメント搭載の実用時計
内部にはショーパール自社製のChopard 01.01-C オートマティックムーブメントを搭載。これは同ブランドが長年磨き上げた核心的な成果です。
直径28.8mm、厚さ4.95mm、207個の部品と31個の宝石軸受から構成されるこの機械式時計は、28,800振動(4Hz)の振動数を持ち、60時間のパワーリザーブを備えています。
認定: スイス公式天文台(COSC)認定取得
特徴: フレイアー製表工場(Fleurier)で設計・製造された自社製ムーブメント。基盤構造は堅固で信頼性が高く、オートマチックローターの巻き上げ効率も極めて高い。

終わりに:高級感と実用性を兼ね備えた“丹霞紅”
見た目は豪華ですが、この時計は「アルピネ エア」シリーズのDNAである“スポーティー&エレガント”なポジショニングを貫いています。
防水性は100m。日常の着用はもちろん、軽度の水泳なども問題ありません。サファイアクリスタルガラスは両面無反射コーティングが施され、直射日光下でも高い視認性を保ちます。
リューズも18Kローズゴールド製のねじ込み式で、安全性と防水性を高めています。
この“丹霞紅”は、決してただのコレクション品ではありません。実際に身に着け、日々のパートナーとして過ごすことができる、信頼性の高い時計なのです。
ショーパールは、この時計がただ“美しい”だけでなく、日常生活の中でも同様に頼りになる存在であってほしいと願っているのです。
ショーパールは、文化的共鳴をより隠喩的な方法で表現することを選びました。丹霞地形の赤は、自然が中国の大地に与えた色彩。それは温度、エネルギー、そして生命を象徴しています。
同ブランドは、製表の言語でこの“赤”を解釈し、自然の魂をそのままに、そしてスイス製表の精密な合理主義を融合させたのです。

時計選びに迷ったらコレ! ロンジン・マスターズ 190周年記念モデルは「正解」の一品

時計選びに迷ったらコレ! ロンジン・マスターズ 190周年記念モデルは「正解」の一品
時計メーカー「ロンジン(Longines)」のフォーマルウォッチ(正装時計)と言えば、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが「マスターズ(Masters)」シリーズでしょう。

このシリーズは2005年に誕生し、「クラシックな外観+自動巻きムーブメント+リーズナブルな価格」というコンセプトで一躍人気を博し、今やロンジンの主力シリーズの一つとなっています。まさに同ブランドの製表技術とコストパフォーマンスの代名詞ともいえる存在です。
190年の歴史を祝う記念モデル
ロンジンは1832年から時計づくりを始めている、老舗のスイス時計メーカーです。2022年はブランド誕生190周年の節目の年であり、今回ご紹介する「L2.793.4.73.2」は、その190周年を記念して発売されたモデルです。
これはロンジン190周年の記念作であると同時に、マスターズシリーズの中でも極めてクラシカルな「三針式」のフォーマルウォッチ。現在の定価は19,900元です。
上品な40mmケースとスモークグレーストラップ
フォーマルウォッチとして理想的な40mm径は、あらゆるシーンで活躍します。厚さは9.35mmと控えめで、スーツの袖口から滑り込むのも容易です。
素材はステンレススチールですが、複雑な面取りや強い角がなく、側面から見るとわずかに膨らんだ形状。それに合わせてサファイアクリスタルガラスもわずかに湾曲しており、全体的に丸みを帯びた、優しげな印象です。
このモデルのもう一つの見どころは、スモークグレーのクロコダイルストラップです。一般的な黒や茶とは一味違い、より現代的な雰囲気を醸し出しながらも、カジュアルすぎることはありません。
また、トリプルフォールディングセーフティクラスプ(三重折り畳み式安全バックル)を採用しているため、日常での着脱が簡単で、ベルトの折り返し部分の摩耗を防ぐことができ、実用性も高い設計です。
視認性を高めるサンドブラスト文字盤
文字盤はクラシックな三針配置で、非常にシンプルなデザインです。シルバーのサンドブラスト盤はマットな質感で、きめ細かな粒子感があり、光を強く反射しません。
この処理により、立体的なアラビア数字とブルースチールの針に視線が自然と集中し、時刻の読み取りがよりクリアになります。
立体感あるインデックスと復刻風ロゴ
この記念モデルの最大の特徴は、立体感のあるアラビア数字インデックスです。彫刻と充填によって「浮き上がった」ような効果を生み出しており、それぞれの数字の端には微妙な面取りが施されています。この陰影が、サンドブラストの底面と相まって強い明暗コントラストを生み出します。
また、数字のフォント自体も復刻風の書体を採用し、「手書き」のような味わいがあります。文字盤のロゴ(飛翼砂時計)も、手書き風の花文字に置き換えられており、復古感(レトロな雰囲気)が存分に味わえます。
優雅な「ブルースチール」針とリューズ
3本の針は、典型的な「柳葉針(ヤナギババリ)」の造形です。長さのバランスが非常に絶妙にコントロールされています。
このブルーは塗装ではなく、鋼を特定の温度まで加熱してできる酸化膜によるものです。そのため、普通の塗料よりも深みがあり、シルバーの文字盤と組み合わせることで、主張しすぎず上品なコントラストを楽しめます。
フォーマルウォッチとして、装飾を排したクリアな印象を与えるため、リューズ(竜頭)にはガードが設けられていません。サイズはほどほどで、側面には細かな溝が入り、グリップしやすい設計。頂部には、ロンジンの飛翼砂時計ロゴが刻印されています。
72時間パワーリザーブを搭載した自社製ムーブメント
裏蓋はスケルトン仕様で、外周のリングには「190th Anniversary」の文字が刻まれ、構造的なサポートと視覚的な「額縁」の役割を果たしています。
裏蓋越しに、内部のL888.5 自動巻きムーブメントを直接見ることができます。自動巻きローターにはロンジンのロゴとブランド名が刻印されています。ムーブメントのブリッジにはジュネーブストライプ、ベースプレートにはパールネージュの装飾が施されています。これらは極めて高級というわけではありませんが、この価格帯のフォーマルウォッチとしては、非常に誠実な仕上げと言えるでしょう。
L888.5ムーブメントのスペック
L888.5はロンジンの自社製ムーブメントです。
振動数: 25,200回/時間
ジュエル数: 21石
動力貯蔵: 約72時間
このムーブメントのもう一つの注目点は、シリコン製遊丝を採用している点です。シリコン素材は従来の金属遊丝と比べて、磁気に対する耐性を大幅に向上させます。防水性能は30メートルで、日常的な手洗いや多少の水しぶきには問題ありません。

ブランド初の八角形クロノグラフ 「1904 Chronograph Collection」発表~

デンマーク・コペンハーゲン発の腕時計ブランド AV86(旧About Vintage)は、このたびブランド初となる八角形と丸を組み合わせた幾何学的フォルムのオクタゴンケースを採用し、これまでの丸型ではないデザインで表現する新しいラグジュアリースポーツウォッチ(ラグスポ)タイプの時計を発表します。

 


AV86は、北欧らしいクラシカルなデザインの追求にとどまらず、時計好きならではのこだわりを詰め込んだモデルをお手頃価格で数多く発表してきました。近年では、テレメーター、タキメーター、手巻き、マルチメーター、ムーンフェイズなど、多様なコンプリケーションを展開し、機能と美の両立を追求してきました。
今回の「1904 Chronograph」では、その流れに新たな一石を投じます。

 

シンプルなクロノグラフという原点へ立ち返りながらも、時計のフォルムそのものをブランド史上初めて見直し、“丸くない=新しい形”への挑戦を果たしました。
それは単なるデザインの変化ではなく、ブランドが掲げる“時の新しいかたち”を体現する試みです。

 


“時間が与えてくれるものを刻み続ける存在”
《静かに訪れる瞬間も、人生を変える瞬間も。》
「1904」は、そうした一つひとつの意味ある時間を刻むために生まれました。
勇気を出して一歩を踏み出したとき、何かを決意したとき、心が動いたとき。
その瞬間を、自らの物語として形づくるための非丸型デザインです。

 

AV86は、時計を“時間を計るための道具”ではなく、“時間が与えてくれるものを刻み続ける存在”と考えています。
この角形時計は、その理念を新たな形状で表現した一本です。

 


デザインについて
1904 Chronographは、AV86史上初のオクタゴン(八角形)の形状を採用した円形ではないクロノグラフ。直線と曲線が共存する幾何学的フォルムは、初期アール・デコ様式から着想を得たデザイン言語によって形づくられました。


直線と曲線が共存する幾何学的フォルム

多層構造のダイヤルは、サブダイヤル用のカットアウトと外周溝によって穏やかな陰影を生み、立体感ある奥行きを感じさせてくれます。ファセット加工を施したサファイアクリスタルが、丸型ではない造形のシャープなエッジを際立たせています。
クロノグラフとしての機能美と、ラグスポらしい構造的美しさを融合させたデザインです。

 

統合の美学とクラフトマンシップの融合
1904 Chronographは、丸くない=新しい美しさを体現するAV86の新たな代表作です。
サイズは3時位置から9時位置まで38mm、厚さは10mmと適度で設計されていて、機能・造形・着用感のすべてを再構築し、ラグジュアリースポーツウォッチの新しい基準を提示します。

 


統合されるようなデザイン
本モデルでは、統合型ブレスレットとFKMラバーストラップを新設計。
サイズ38mm、ラグ間距離 45mmでありながら驚くほど軽やかな装着感を実現し、まるで手首のために作られたかのような優しいしなやかさがフィット感とレトロなヴィンテージ感を提供します。

ケースから滑らかに伸びるよう設計されたブレスレットとストラップは、一体感のあるラインと装着感を実現。スチールブレスレットは精密なテーパーを施し、ケースに自然に接続。
全5種類のラバーストラップは柔軟性と耐久性を兼ね備え、日常からアクティブシーンまで快適に使用可能です。
いずれもクイックリリース式で、瞬時に付け替えが可能。
“ベルトを取り付けた時計”ではなく、“時計そのものの一部”として設計されています。


クイックリリース式で簡単に着せ替え


特典情報
公式サイトでメール登録を行うと、発売時に時計購入者へ「統合型ラバーストラップ」を1本無料でプレゼント。

 


【概要】
1904 Chronograph
(全6種類)
 - Light & Dark Blue
- Light & Dark Green
- Off White & Black
- Off White
- Blue
- Olive Green
価格:66,000円(税込)
発売中
販売方法:公式サイトにて発売
https://av86.com/ja-jp/products/1904-chronograph-steel-off-white-black 

ケース:サージカル316Lステンレス製スチール
・ケースサイズ:文字盤サイズ 38mm/厚み 10mm/ラグ間距離 45mm
・金属アレルギーが少なく、比較的人体に優しいスチール。腐食に強い耐性)
・個別のシリアルナンバー付き
・はめ込み式裏蓋
・ガラス:ファセット加工サファイアクリスタル(傷に強い素材)
・防水:5ATM(日常生活用強化防水):潜水には適しておりません。
ムーブメント:Epson VR31(日本製クォーツ)
保証:欠陥に対して2年間

 

[AV86(旧About Vintage)]
時計愛好家の幼馴染2人が「金庫で保管される程の価値ある腕時計を、良心的な価格で製作する」という夢を実現するため、2014年にデンマーク・コペンハーゲンで設立した腕時計ブランド。時計好きならではのこだわりある品質や機能性を備えつつ、北欧らしいシンプルで様々なTPOに適したデザインに特化しています。
ブランド名の「86」は創業者が生まれた1986年に由来し、世代を超えて愛される時計作りを目指しています。近年では、ACミラン、FCコペンハーゲン、デンマーク代表サッカーチームDBUなどとの公式パートナーシップを通じ、複数のコラボレーション腕時計も発表。本社はデンマーク・コペンハーゲンに所在します。

「ルイ・エラール」メティエダール コレクションより「フィル・ドール/ルイ・エラール X ワイヤーアート」を発売中~

2,320 本にも及ぶ25 ミクロンの純金ゴールドの糸による幾何学模様のダイアルを持つ「フィル・ドール ルイ・エラール X ワイヤーアート」を、「ルイ・エラール」メティエダール コレクションより発売中

マイクロエレクトロニクスの精密さが、アートへと昇華するとき。ルイ・エラールはその真価を発揮します ― 才能、職人技、そして大胆なアイデアに光を当てること。新作「フィル・ドール」はその結晶です。このモデルは、ワイヤーアートの創設者であるシルヴィ・ヴィラとマーク・ミールブラットとのコラボレーションによって誕生しました。彼らはエンジニアとしての訓練を受けながらも、信念によってアーティストへと歩みを進めました。

かつて彼らの機械はデジタル世界を結線していました。今、その機械は「時間」を結線するのです。これは単なる装飾ではありません。新たなアートクラフトの誕生です。「フィル・ドール」は、クラフツマンシップと革新を「黄金の糸」でつなぎ合わせた作品です。

WIRE ART・SYLVIE VILLA × MARK MIEHLBRADT(シルヴィ・ヴィラとマーク・ミールブラット)
2017 年、シルヴィ・ヴィラとマーク・ミールブラットによって創設された Wire Art Switzerland。彼らはクラフツマンシップの未来を「再配線」する存在です。スイス・マイクロメカニクスの中心地、サントクロワの高地にある工房は、家族の古い農家を修復して生まれたもの。そこで、ミクロエンジニアリングと芸術的再創造が出会います。
ミクロテクノロジーとマイクロエレクトロニクスを専門とするエンジニアである二人は、かつてデジタル世界を「結線」していたワイヤーボンディングマシンに新たな命を吹き込みました。時代遅れとなり、沈黙に向かうはずだった機械たち。Wire Art はそれらに新しい目的を与えました。

 24K ゴールドの糸を織り込み、純粋なビジュアルアートへと昇華させること。彼らの特許技術は、マイクロソルダリングを芸術へと変換します。髪の毛よりも細い金線を織り込み、緻密なパターン、幾何学的な錯視、そして光を放つテクスチャーを生み出すのです。産業がスピードを追い求める時代にあって、シルヴィとマークはあえて時間をかけ、無二のパターンが織りなす光の戯れを果てしなく追求し続けています。

「すべてのルイ・エラールのコラボレーションは、出会いから始まります。シルヴィとマークとの出会いもまた、黄金の糸に導かれ、大胆な発想で結ばれました。半導体技術のための機械を、金のマイクロ彫刻の道具へと変えるというアイデアです。そして私たちは彼らに挑戦を課しました ― 独占的にとどめるのではなく、誰もが手にできる作品へと昇華させることを。シンプルな形、立方体。それはすでに当社のメティエダールの作品に存在するシグネチャー(ギヨシェ彫りや木象嵌)です。その結果生まれたのは、純金で描かれるトロンプルイユ(だまし絵)のような錯覚。しかし、このモデルはその名とは対照的に「真実」を語ります。プロセスも、道具も、人も――すべてを見せる。それが私たちのやり方です。」マニュエル・エムシュ

マイクロメカニカル刺繍:Wire Art Switzerland(スイス・サントクロワ)製作
黄金の糸:このダイヤルはプリントではなく「配線」されています。純金24K の糸を織り込み、太さはわずか25 ミクロン、人の髪の毛の3 分の1 の細さです。技術は特許を取得し、精緻かつ執念深いプロセス ― もとはマイクロエレクトロニクスの世界から借用したもの。機械は本来、マイクロ回路を結線するために設計されたものですが、いまやアートのための「ゴールドスレッド・ボンディングマシン」として再生されました。

デザインはルイ・エラールのシグネチャーである立方体。シェブロン模様が錯覚的な立体感を生み出します。スケッチからベクターコード、ラッカー仕上げの真鍮から金糸の彫刻へ ― 光と陰影が織り成す生きたダイヤルが誕生しました。

この芸術を手掛けたのは、Wire Art Switzerland の創設者、シルヴィ・ヴィラとマーク・ミールブラットです。
「フィル・ドール」はノワルモン・メティエダール・コレクションの一員として、39mm ステンレススティールケースに収められています。そのデザインは立方体というアナクロニズム的モチーフから構成され、2021 年のギヨシェ彫りダイヤル、2023 年の木象嵌ダイヤルに続く流れを示します。
それはルイ・エラールの使命 ― 希少なクラフツマンシップを広く届け、真価を損なうことなく accessible にする ―を改めて強調するものです。ルイ・エラールが常に信じてきた「手の届く卓越性」。フィル・ドールもその例外ではありません。
【技術概要】
・ブラックラッカー地に24K 硬化ゴールドの糸2,320 本、3,660 カ所の接点
・技術:再プログラムされた機械による特許取得済みマイクロボンディング
・ワイヤー:25 ミクロン(人の髪の毛の1/3 の細さ)、3 秒ごとに1 本配置
・デザイン:立方体モチーフ(ルイ・エラール メティエダールのシグネチャー。ギヨシェや木象嵌に通じる要素)
・効果:黄金のトロンプルイユ幾何学

糸とダイアル
マイクロソルダリング、マイクロメカニカル刺繍、漆地の上に施された金細工。
漆黒のラッカーダイヤルの上に、2,320 本の金糸がキューブ模様を描き、3,660 の接点がチャプターリング、インデックス、そして縁の陰影を形づくります。
一本一本のワイヤーを、顕微鏡下で引き出し、配置し、ハンダ付け。3 秒ごとに1本。45 分間、極度の集中と精緻な手仕事。抜け道は一切ありません。

地板には数千の微細なキャビティをレーザーで刻印し、電解メッキで金を満たします。すべての糸、すべての接点は2Dデジタル設計に基づき配置され、高さはミクロン単位で調整・校正されます。圧力、温度、溶接時間――すべてが制御され、偶然の余地はありません。機械が遂行し、人間の眼が指揮を執る。二つの知性の邂逅。技術の信頼性と美の完璧さが、そこに結実します。

糸はレーザーで刻まれたアンカーポイントから始まり、計算し尽くされた経路を横切り、もう一つの金で縁取られたキャビティに終着します。すべての接点は再プログラムされたボンディングマシンでマイクロソルダリング。まさにミクロの金刺繍です。糸と隆起が織りなすのはアイソメトリック・キューブを想起させるモチーフ。光と影が戯れ、手首の上で錯覚的な造形を生み出します。しかし金は嘘をつきません。素材は24K 純金。なぜその選択か?それは合金化されていない金だけが、加工時に柔らかく延性に富み、仕上げ後は硬化して形を保つからです。すべてのダイヤルは、スイス時計微細機械工学発祥の地サントクロワのWire Art Switzerland によって製作されています。
このダイヤルには新たな針が与えられました。ロジウムメッキ仕上げ、天面はサテンブラッシュ、角はダイヤモンドポリッシュ。堂々たるソード型。そしてルイ・エラールを象徴するベージュレザーのストラップ。
合計で229,680 本の金糸が、99 本の限定タイムピースに織り込まれています。

「私たちは訓練ではエンジニア、選択では職人です。もともと半導体を結線するために造られた機械が、今は金を刺繍します。糸一本ずつ、ダイヤル一枚ずつ。ルイ・エラールとの協働は最初から率直で、深く双方向的でした。彼らは単なるダイヤルを求めたのではなく、理解を、参加を、プロセスの一員となることを望みました。制約を与えられたことで、私たちはさらに高みに挑むことができました。そして何より、供給者としてではなく、対等なパートナーとして、職人として認められること。それがすべてを変えました。長年、影の中で培った技術、機械、使命を光の下へと導くものです。」

レデラーがドバイ ウォッチ ウィークにて、CIC39の新しいクリエーション、InVerto Tataniumを発表しました。

InVerto(インベルト?)はレデラーの出身地であるドイツ語で逆転のような意味で、英語のinvertに相当、そのまま「反転」という意味でしょうか。

ステンレススティールケースのトリプルサーティファイドオブザバトリークロノメーターと同様に実用金属のグレード5チタンケースに納めました。

スーパーコピー時計の本来はグラスバックに相当するドーム状の風防によってムーブメント・歯車・スプリング・そして2つのルモントワールとセントラルインパルスクロノメーター脱進機が遮られることなく眺めることができます。
このドームはレデラーが理想とする有機的な連続曲面になるよう手作業で仕上げられ、ケースまでを内製することができるレデラー社の技術力の証明でもあります。

セントラルインパルスクロノメーター脱進機は完全に独立した2つの輪列で駆動される2つのガンギ車が1つのアンクルで制御され、それぞれの回転方向の衝撃を独立して与える構造です、安全のために「捨てる」エネルギーを最小に抑えており、反転した回転を作るための伝え車もない「独立」両方向駆動脱進機、としています。

ベルナルド・レデラーとしては、師として仰ぐジョージ・ダニエルズの両方向「独立」直接駆動脱進機同様、2つの輪列から効率よくエネルギーを与えることが高効率のためには最も重要であり、「両方向」「直接駆動」であっても1つの輪列から1:1の反転車で逆回転を作るような設計は望ましくない、と考えていることは以前のインタビューで伺いました。

この構造の副産物として、2つの輪列からは速度は同じで回転方向が逆の回転が常にペアで取り出すことができます。
この性質を活かすことで、運針の回転方向を逆にするための反転輪列を不要とし、ほぼ追加パーツなしで反転構造を実現できているのは44mmと同様です。

テンワを支えるブリッジのセンターに時分針が取り付けられています。
古典的なコハゼと片方の香箱の巻き上げ方向を逆にするための反転車がデザインのアクセントななっています。
ルモントワールのブロックレバーも見えます。

44mmのInVerto同様、向かって時計回りに回転するスモールセコンドはケースバック側に配置されています。
今更気が付きましたが、反転構造によって本来は反時計回りになっている側がケースバック側から見ると時計回りになっている、というのはユニークです。

ケースバックにはルモントワールと脱進機・テンワを意匠化したエングレーブが施されているのもユニークです。

44mmに時に「このデザインでは二針にした方が良かったのでは?」と質問したところ、「CICの全数で通しているCOSC(クロノメーター検定)のためには秒針が必須、確かにInVertoではデザイン上邪魔になるので裏に付けた」との回答が。

仕上げの難しいチタンを選び、貴金属ケース同様の仕上げを行い、美しいケースを実現する事はレデラーの誇る工房が無ければ不可能だったと語られています。
ムーブメント部品の98%、ケースまで内製するマニュファクチュールの力があってこそ作り上げることができたものでしょう。

反転に合わせて各部が再設計されたムーブメントには新しいキャリバー9019というという名前が与えられ、2つのルモントワールとセントラルインパルスクロノメーター脱進機のリズムを刻みます。

限定数は定められていませんが、「極めて少数」の生産になるとされているInVerto 39mm チタニウム、これのためにドバイに行くべきだったか…と思えるような力作です。

来年には時計師として40周年を迎えるベルナルド・レデラー、この作品も実機を見てみたい!

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