- 2025/10/09
- スーパーコピー時計
メゾンのカルト的人気モデルが、エナメルダイヤルと自社製ムーブメント。
ルイ・ヴィトン モントレーはここ数年、時計界の潮流のなかで静かに存在感を示してきた。2023年にタイラー・ザ・クリエイター(Tyler, the Creator)氏が着用しているのが目撃され、その後TikTokでおなじみのヴィンテージウォッチ関係者によって再浮上。今年の初めにはルイ・ヴィトン 2025秋冬ウィメンズ・ファッションショーのランウェイで、アーティスティック・ディレクターであるニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquière)氏と、スタイリストのマリ=アメリー・ソーヴェ(Marie-Amélie Sauvé)氏がモデルの手首や首元をオリジナルのLV Iで飾った。9月末の2026春夏コレクションのランウェイではLV IIが登場し、今度はベルトの装飾として着用された。そして今回、メゾンは新しいモントレーを正式に発表した。これはルイ・ヴィトン初の腕時計の復活版だ。39mmのイエローゴールド(YG)製の本作はホワイトグラン・フー エナメル ダイヤル、自社製自動巻きムーブメントLFM MA01.02を搭載し、188本限定で製造される。
モントレーは、1988年にLV IとLV IIとして誕生。どちらも、パリのオルセー駅をオルセー美術館へと変貌させたことで最もよく知られ、戦後のイタリアンデザインを決定づけたシャープでモダニズム的な家具やインテリアを手がけたイタリアの建築家兼デザイナー、ガエ・アウレンティ(Gae Aulenti)によってデザインされた。“私の作品にスタイルを定義することは不可能だ”と、アウレンティは1987年に『ニューヨーク・タイムズ』で語っているが、その言葉はここでは特にしっくりくる。ルイ・ヴィトンの時計製造への最初の進出にあたり、アウレンティがデザインし、ギュンター・ブリュームライン(Günter Blümlein)の指揮の下、IWCが製造を担当した。
その結果として誕生したのが、ふたつのクォーツモデルだ。ひとつはLV Iで、ムーンフェイズ、デイト、アラーム機能を備えたYG製の40mm径ワールドタイマーが限定100本。もうひとつはLV IIで、37mm径のセラミック製アラームウォッチとして4000本が生産された。ジャン・アルノー(Jean Arnault)氏が2023年にInstagramに投稿した“NWA”で見られるように、ごく少数のホワイトゴールド製LV Iも製造された。これらは野心的ではあったが、決して完璧ではなかった。両モデルとも生産の遅延や技術的な問題に悩まされ、当時としては高額だった価格設定も販売の障壁となった。当時のモントレーは高価で難解であり、そしておそらく時代を少し先取りしすぎていたのである。しかし今見るとそのペブルシェイプ、12時位置のリューズ、そして初期の素材への実験は、失敗というよりも、時を経てカルト的な地位を確立した、珍しくも風変わりな回り道のように読み取れる。
ルイ・ヴィトン LV I “モントレー I” ワールドタイム、18KYG、クォーツ(1988年)
オールドモデルとニューモデル!
この新しいモントレーはオリジナルに忠実でありながら、現在のルイ・ヴィトンのマニュファクチュールの実力を存分に発揮している。39mmのYG製ケースは完全に自社内でポリッシュ仕上げを施し、12時位置にはクル・ド・パリをあしらった特徴的なリューズ、そしてラグのないクイックリリースシステムはレザーの下に隠されている。本物の見どころはエナメルダイヤルだ。純白のグラン・フー エナメルは、完璧につくるのがきわめて難しいことで知られており、20時間以上にもわたる重ね塗りと900°Cまでの複数回の焼成が必要となる。
デザインはオリジナルに比べて明らかに簡潔化されており、複雑機構を排してエナメル加工を主役に据えた、よりクリーンでグラフィカルな仕上がりとなっている。レッドとブルーの目盛りは複数回の焼成工程で転写され、視覚的なインパクトを生み出している。ラッカー仕上げのシリンジ針とブルーの秒針は、オリジナルのレイアウトを反映している。内部には自動巻きCal.LFT MA01.02が搭載され、ローズゴールドのローターと控えめに刻まれたジュネーブ・シールを備え、パワーリザーブは45時間を誇る。
我々の考え
このモダンなモントレーが登場したとき、それは無名のなかから現れたのではなく、すでに注目を浴びていた。しかしルイ・ヴィトンがこの時計を復活させるために選んだ方法は、一般的なヴィンテージの復刻版とは一線を画している。モントレーは、再発見されるのを待っていた隠れた傑作ではない。それは80年代後半の風変わりな実験であり、新しい世代のコレクターやファッション業界のインサイダーのあいだで最近になってようやくその地位を確立したのだ。メゾンは単なるノスタルジーに頼るのではなく、この復刻を正確で自己完結したジェスチャーとして捉え、カルト的な人気モデルに敬意を表すると同時に、ブランドが現在メゾンで実行できることを誇示する方法として見せているのだ。
戦略的に見て、これは新たなプロダクトラインの幕開けでも、大衆向けの製品を市場に投入するものでもない。これは意図的で厳密に管理された“1度きり”のリリースである。「私たちにとって、これは過去へのオマージュです。しかし現代的なやり方で」と、ルイ・ヴィトンの時計部門ディレクターであるジャン・アルノー(Jean Arnault)氏は語る。「実現の方法はいくつもありましたが、私たちはラ・ファブリク・デュ・タンがもし今これを新しい時計として作るとしたら、どうするかを考えたのです。つまりエナメルダイヤル、自動巻きムーブメント、すべてを自社製で仕上げるという方法に決めたのです」。また彼はこのプロジェクトがマニュファクチュールの実力を誇示するだけでなく、先にこの時計を見出した人々への敬意を表す意味もあると強調する。「ヴィンテージピースを手に入れたコレクターたちに敬意を示したいのです。それは私たちへの多大な信頼を必要とするからです」と彼は付け加えた。
もちろん、今の時計業界がヴィンテージ復刻モデルであふれていることは誰もが承知している。多くのブランドがノスタルジーに大きく依存し、過去の名作を再発して、その温かい感情や実績あるデザインに支えられた人気を再び手にしようとしているのだ。だが、モントレーはそうしたパターンからわずかに外れた位置にある。オリジナルのモデルは商業的に成功したわけでもなく、ルイ・ヴィトンのウォッチメイキングの未来を示唆する存在でもなかった。それはむしろ、時代の空気を映し出した風変わりな寄り道のようなものであり、近年になってようやくクールな評価を獲得した時計なのである。メゾンはここで歴史を書き換えようとしているわけではない。むしろ、カルト的な人気を誇る1本を正確かつていねいに扱っているのだ。わずか188本という限定数が示すように、これは大量復活ではない。研ぎ澄まされた、意図的なリバイバルなのである。
基本情報
ブランド: ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)
モデル名: モントレー(Monterey)
型番: QAA03
直径: 39mm
厚さ: 10.7mm
ケース素材: 18Kイエローゴールド
文字盤色: ホワイトグラン・フー エナメル ダイヤル、レッドとブルーの目盛り
インデックス: プリントされたアラビア数字とレイルウェイトラック
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: クイックリリースシステム付きブラックレザーストラップ、18KYG製ピンバックル
ムーブメント情報
キャリバー: LFT MA01.02(自社製自動巻き)
機能: 時・分表示、センターセコンド
直径: 31mm
厚さ: 4.2mm
パワーリザーブ: 45時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 4Hz(2万8800振動/時)
石数: 28
クロノメーター認定: なし
追加情報: ローズゴールド製マイクロローター、ラ・ファブリック・デュ・タン ルイ・ヴィトンで製造および仕上げ、ジュネーブ・シール