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トンダ PFミニッツラトラパンテは、世界初の機能をもつ時計。

トンダ PFミニッツラトラパンテ ステンレススティール/アークティック・ローズ~すべての瞬間に光を。

トンダ PFミニッツラトラパンテは、世界初の機能をもつ時計として2023年に発表され、即座に愛好家たちを惹きつけました。これは、パフォーマンスを計測するために生み出された複雑機構ではなく、時間そのものを意のままに加えられるという、唯一無二の体験を提供する時計です。革新的なアイデアは、驚くほどシンプルで優雅な形で実現され、ウォッチメイキングをその原点である「生涯を共にするパートナー」という本来の目的へと回帰させます。
2025年、トンダ PFミニッツラトラパンテは、アークティック・ローズのダイヤルを纏って新たな表現を得ました。淡いローズの色合いとクリスタルのような反射の中を、その色彩は光と共に移ろい、絶えず変化する繊細な色合いを見せます。

プライベート・ラグジュアリー、文化を感じる「時」の表現
パルミジャーニ・フルリエの哲学は、ひとつの信念に基づいています。それは、真のラグジュアリーとは、パーソナルで、控えめで、文化的な体験として息づくものであるということ。私たちのメゾンは、このプライベート・ラグジュアリーを、意義と本質的な美を求める人たちに向けた洗練の形であると位置づけます。
トンダ PFラトラパンテのシリーズは、まさにこのビジョンを体現しています。
それは物理的に計測可能であると同時に、社会から課された時間である「クロノス」から、自分のものさしで選んで生きる時間である「カイロス」への移行を意味します。

情報があふれ、すべてが目まぐるしく変化するこの世界において、足を止め、その瞬間を取り戻すように、ラトラパンテは促します。

トンダ PFミニッツラトラパンテ:複雑なものをシンプルにする芸術
この原理は、今日に至るまで他にはありません。そして、驚くほどシンプルです。二本の分針は通常は重なっていて、機能を利用するときだけ下に隠れていた分針が姿を現します。

この独創的な機構を通して、高度なメカニズムは直感的なものとなり、複雑さはエレガンスへと昇華されます。
機能の調整は三つのプッシュボタンで行います。10時位置のボタンを押すと1分単位で、8時位置のボタンを押すと5分単位で針が進みます。リューズにあるボタンを押すとリセットされます。

一本目のロジウムプレートの針が実際の時刻を示し、二本目のローズゴールドの針が設定時間を示します。
二本の針が再び重なったときに、設定した時間が経過したことになります。

すべては穏やかなエレガンスをもって展開されます。通常は隠れていて、呼び出されたときにだけ目覚めるメカニズム。ひとときを引き延ばしたり、ペースを緩めたり、あるいは単に自分のリズムを取り戻すことを促す、時間を意のままに測るオンデマンドの計時を提供します。

アークティック・ローズ:光から生まれた色
2025年、トンダ PFミニッツラトラパンテは、アークティック・ローズのダイヤルを纏って新たな表現を得ました。淡いローズの色合いとクリスタルのような反射の中を、その色彩は光と共に移ろい、絶えず変化する繊細な色合いを見せます。

アークティック・ローズという色の選択にも、深い意味が込められています。18世紀、ローズカラーは男性が身に着ける色であり、洗練と品格の象徴でした。この色が女性らしさと結び付けられるようになったのは、20世紀後半のことです。この色を現代の男性的なウォッチメイキングに再導入することは、忘れられた伝統との絆を新たにして、既成概念から解放された美学を肯定することでもあります。

アークティック・ローズは、自信に満ちたエレガンスを語る言語となるのです。その色合いは、親密で、現代的で、驚くほどの汎用性を備えています。

パルミジャーニ・フルリエのスタイルコード
トンダPFコレクションのすべてのモデルと同様に、アークティック・ローズのミニッツラトラパンテは、時計愛好家にひと目でそれとわかる美的言語を表現しています。

 

バーリーコーンのギョーシェ:1996年からメゾンを象徴するモチーフを、特に繊細なパターンで取り入れました。光と戯れる魅惑的な規則性が、ダイヤルに奥行きと動きを与えます。

ローレット加工のプラチナ製ベゼル:職人の手によって刻まれるローレット加工は、見た目に控えめでとても繊細な、メゾンのシグネチャー。緻密なファセットが光を反射します。

 

人間工学に基づいたなめらかなライン:シームレスにつながるケースとブレスレット。手作業で施されたサテン仕上げが手首に自然に馴染む、彫刻的な連続性を生み出します。


ムーブメントPF052:目に見える美と、隠れた美
ケースバックから見えるキャリバーPF052が、美的革新と機械的な卓越性は切り離せないものであることを示しています。わずか4.9mmという驚くほどスリムな構造の中に収められたミニッツラトラパンテ機能は、デザインの純粋性と高度な時計学の完璧な調和を証明しています。

 

271個の部品からなるキャリバーPF052は、コート・ド・ジュネーブ、ペルラージュ、面取りという伝統的なウォッチメイキングの最高水準で仕上げられています。ダイヤルと同じバーリーコーンのギョーシェで飾られた22Kローズゴールド製マイクロローターは、時計の外装と内装との間のつながりをひそかに演出します。


軽やかに時をとらえる美学
トンダ PFミニッツラトラパンテのアークティック・ローズモデルは、直感的で、光に満ちた、時間との新たな対話を開きます。
ダイヤルの下に隠れながらも息づく機構は、高い精度を心につながる感情へと転換します。アークティック・ローズの色合いは、審美眼、センス、光とリズムに対する深い感性を表す、稀有な表情を露わにします。

 

トンダ PFミニッツラトラパンテは、時間を支配するものとしてではなく、理解し、そして感じるものとして、時間と異なる向き合い方をするよう誘います。
それは、ミシェル・パルミジャーニの時計文化から生まれ、知性と感性が出会い、美が意識を呼び覚ますメゾンの純粋主義的な美学によって高められたクリエーションです。


【仕様】
トンダ PFミニッツラトラパンテ
ステンレススティール/アークティック・ローズ
品番:PFC904-1020002-100182
税込価格:4,851,000円

ダイヤル
・カラー:アークティック・ローズ
・仕上げ:バーリーコーンのハンドギョーシェ
・インデックス: 18Kゴールド、ロジウムプレート、ハンドアプライド
・針時針と分針:ロジウムプレート加工の18Kゴールド、デルタ型スケルトン
・タイマー:18K ローズゴールド、デルタ型スケルトン
キャリバー:PF052 (自社製自動巻きムーブメント)
・ミニッツラトラパンテ機能とローズゴールド製マイクロローター搭載
・パワーリザーブ:48時間
・振動数:21,600振動/時(3Hz)
・石数:35
・部品数:271
・ムーブメントサイズ:径 32 mm/厚 4.9 mm
・装飾::コート・ド・ジュネーブ、ペルラージュ、面取りされたブリッジ
・ローター:22Kローズゴールド製マイクロローター、バーリーコーンのギョーシェ
・機能:時、分、ミニッツラトラパンテ
ケース:ポリッシュ/サテン仕上げのステンレススティール、プラチナ950製ローレット加工のベゼル
・ケースサイズ:径 40 mm/厚 10.7 mm
・リューズ:Ø5.5 mm、18Kローズゴールド製プッシュボタン
・ガラス:ARunic反射防止加工のサファイアクリスタル
・ケースバック:サファイアクリスタル
・ケースバックの刻印:シリアルナンバー、"PARMIGIANI FLEURIER"
・防水性:60m
ブレスレット:ポリッシュ/サテン仕上げのステンレススティール
・バックル:ステンレススティール製フォールディングクラスプ

 

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パルミジャーニ・フルリエ

ロジャー・スミス氏が手掛けた“最高傑作”が、フィリップス ニューヨークに登場

すべての部品がスミス氏の手によって生み出されたポケットウォッチ No.2。これは間違いなく、私がいままでつくりあげた時計のなかで最も重要な時計であると、イギリスの時計職人は話す。

 ロジャー・スミス(Roger Smith)氏のポケットウォッチ No.2が、フィリップスのニューヨーク ウォッチ オークションにて初めて一般販売されることになった。

「間違いなく、私がつくったもののなかで最高の時計です」と、今週初めに懐中時計の話をしたとき、ロジャー・スミス氏は言った。これはスミス氏が22歳の時、時計職人のジョージ・ダニエルズ(George Daniels)に弟子入りをするべく、初めて懐中時計を贈ったことから始まる。しかしダニエルズはスミス氏に、それがあまりにも“手作り感”が強すぎると言い放ち、何もないところから“生み出された”ようにするべきだと、その申し出をはねつけた。

ロジャー・スミス ポケット ウォッチ No.2
スミス氏はダニエルズからの批評を胸にイギリスのボルトンに戻った。それから5年のあいだ、彼は週に3、4日、2本目の懐中時計の製作に取り組みながら、時計の修理や修復の仕事をして、自分自身とそのプロジェクトを維持してきた。

そしてスミス氏はポケットウォッチ No.2を、最初の作品よりもさらに複雑なものにしようと試みた。ムーブメント、ケース、針、文字盤など、時計のすべての構成部品を氏自らが素材から作り上げたのだ。同モデルに搭載された、4年周期のパーペチュアルカレンダー、ムーンフェイズ、ワンミニッツトゥールビヨン、スプリングデテント脱進機などを設計し、ムーブメントは金メッキとつや消しの地板、パープルブルーの青焼きネジ、ゴールドシャトンといった伝統的なトラディショナルウォッチメイキングのスタイルで仕上げている。

ロジャー・スミス氏
若かりし日のロジャー・スミス氏。

「ダニエルズの著書である『ウォッチメイキング』は、腕時計の組み立てマニュアルでした」と話すスミス氏。「すべてが初めての経験でした。部品の形状や成型方法、正しく熱処理をする方法など、部品ひとつひとつについて最善のつくり方を考えなければなりませんでした。最初の懐中時計に続き、これは私がつくった2つ目のトゥールビヨンでしたから、それすらもチャレンジでした」

スミス氏が部品をつくればつくるほど、彼の知識も増えていく。最初につくりあげた部品があとから作った部品よりも洗練されていると感じられないという理由で、5年のあいだに時計を4、5回も作り直したという。ムーブメントの各パーツは1枚の鋼板の上に描かれ、それを手作業でカット、ヤスリがけをし、研磨した。3つのパーツからなるケースは1本の金塊から始まり、鎚で叩いてハンダ付けされ、そして直径66.5mm、厚さ21.5mmの18Kゴールドケースへと成形された。

ロジャー・スミス ポケット ウォッチ No.2の蓋を開けたディテール
「英国を駆け抜ける旅」第1話:ロジャー・W・スミス

さかのぼること2016年、HODINKEEは12日間かけて英国を旅した。もちろん、マン島にあるロジャー・スミス氏の工房からスタートした。スミス氏の工房での映像はこちらでご確認ください。

5年後、スミス氏はマン島に戻り、ダニエルズにその時計を贈った。偉大なる時計師はその時計の調査を開始した。ダニエルズが部品を指差して誰が作ったのかを聞くたび、スミスが都度私がつくりましたと答える。ムーブメントの組み立てや仕上げは誰が行ったのか? という問いかけにもスミス氏は、私がやりましたと答えた。最後に、ダニエルズはスミス氏に向かってこう言った。「おめでとう。これであなたも立派な時計職人の仲間入りだ」と。

この出会いから間もなく、ダニエルズはスミス氏に、彼が考案したコーアクシャル脱進機がオメガに採用されたことを記念したミレニアムシリーズ完成への協力を依頼した。ミレニアムシリーズが完成した2001年、スミス氏は自身の手で腕時計をつくることを決意し、初のレクタンギュラーウォッチを完成させた。この最初の腕時計のために、スミス氏はスイスから多くの部品を調達したが、その後すぐに完全なる自社製ムーブメントを実現したいと思うようになる。

スミス氏は「これは私にとって、自身のキャリアを決定付ける大きな瞬間でした」と話した。「自分なりのムーブメントをつくりあげたかったため、ほかのサプライヤーに頼るのは嫌だったのです」。そこで彼は2004年にポケットウォッチ No.2を手放し、彼の哲学(ハンドメイドのすべてを手首にもたらす)を反映させた、シリーズ2 ウォッチの開発資金に充てた。さらにこの懐中時計は、数年前にダニエルズにプレゼントしたあと、ダニエルズがいくつかの改良を加えていたのだ。トレードマークである針を新たに製作し、文字盤には4種類以上ものギヨシェ装飾が施されていた。この懐中時計が2004年にプライベートコレクションに売却されて以来、スミス氏はこの時計を手にしたことがなく、もし今週末に見る機会があれば、じっくりとチェックするのが楽しみだという。

ロジャー・スミス ポケット ウォッチ No.2の文字盤
「まさにタイムカプセルですね」とスミス氏。「これ以上の改良は無理だと思うくらいになりました。このピースを売ることができたのはうれしかった。それが当時できた精一杯の成果であり、5年間、私の人生を握っていたのです」。ポケットウォッチ No.2は、同氏の最も重要な作品のひとつであるだけではなく、現代のトラディショナルウォッチメイキング、あるいは現代の独立系時計師においても非常に重要な時計のひとつであり、推定落札価格は“100万ドル以上”(日本円で約1億3345万円)といわれている。彼が手掛けた代表的な時計が一般公開されるのを楽しみにしているのは、スミス氏だけでないことは確かだ。

フィリップスはロンドンを皮切りに、4月13日から16日まで世界各地で“ポケットウォッチ No.2”を展示する予定です。そして今週木曜日に行われる一般公開にはロジャー・スミス氏本人も出席する予定。またこちらは6月3日から9日までニューヨークで開催されるニューヨーク ウォッチ オークション 8に出品され、同オークションは2日間行われます。

39mmのタグ・ホイヤー カレラ ブラックダイヤル“グラスボックス”

ヴィンテージとモダンがミックスされ、カレラコレクションが完全に生まれ変わった。

ブランドアンバサダーであるライアン・ゴズリング(Ryan Gosling)氏を起用したブランドキャンペーンを実施した。満員の観客を前に、タグはゴズリング氏が主演の5分間のショートフィルムを上映し、映像には元SNL(サタデー・ナイト・ライブ)キャストのヴァネッサ・ベイヤー(Vanessa Bayer)氏、『ブレット・トレイン』や『ジョン・ウィック』でおなじみの映画監督デヴィッド・リーチ(David Leitch)氏も登場した。率直に言って、この映像は広告としては新鮮で、クリエイティブなアプローチだと思う。ゴズリング氏が映画の撮影現場で、カメラが止まったあともカレラを返そうとしないというメタ的な要素が含まれている。筋書きを書き出すかわりに、1度自分でその映像を見てもらいたい。

このイベントとビデオは、タグホイヤースーパーコピー代引きが最近リリースしたモデルのなかでも特に話題を集めた時計のひとつである、“グラスボックス”カレラを紹介したものだ。これはブランドで最も人気のラインであり、レースの伝統と結びついた同コレクションの美観を刷新したものである。

時計の紹介レビューを書き上げたが、その記事で実際に扱うことができたのはブルーモデルのみだった。この作品は完全にモダンなデザインでありながら、わずかにヴィンテージのテイストが感じられるためとても気に入っている。ただし一生懸命探せば見つかるものでもある。

しかしブラックモデルは非常に魅力的なバリエーションで、機会があればすぐにパレクスポの展示会場で探した作品だった。それ以来、同業者の友人や同世代の人らが手首につけているのを見かけるようになった。ブルーとブラック、どちらがより好きというわけではないのだが、少なくとも後者については十分に堪能したため、自身の感想や考えを述べようと思う。

まずはサイズから。ブルーエディション同様39mmサイズかつ、ラグからラグまでは46mmと、非常にコンパクトな仕様となっており、まるで37mmの時計を身につけているかのような感覚になる。ここがこの時計をうまく機能させているポイントだと思う。過去10年ほどのあいだに、タグ・ホイヤーは(まあ業界のほとんどすべてのブランドといっても過言ではない)、大振りで厚みのあるほうへと偏っていった。だがこの新しいカレラは正しい方向へとシフトし、ブランドの初挑戦となるこのサイズは完璧に成功したと感じる。遠くから見ると、特にブラック文字盤のエディションについてはヴィンテージウォッチと見間違うかもしれないほどだ。パンチング加工されたレーシングストラップもその効果を発揮するだろう。

タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ、ブラックエディションのリストショット
そしてブラック文字盤とブルー文字盤を区別する視覚的な違いについても話そう。まずコントラストだが、ブラックの文字盤表面に対して、サブダイヤルがシルバートーンになる逆パンダの効果がある点。このコントラストによって、この2本の新モデルの大きな違いである日付の配置につながってくる。この高いコントラストを維持するべく、タグは日付を6時位置(ブルーのバージョンにはそこにある)から12時位置へと移動させている。クロノグラフ秒針が計測をしていないとき絶対に日付が見れないため、この配置は奇妙に思えるのだが、実はこの選択には前例がある。ホイヤーはこの日付の配置をヴィンテージのダート12(Dato 12)、Ref.13ZNで採用しているのだ。

これはデザイン上の遊びというわけではなく、ほぼデザイン上の欠陥であると考えられているため、改めて取り入れること自体おかしなことなのだが、ここで再来している。強いて言うとすれば、見る角度によってはほぼノーデイトとして読めるという感じだろうか。それ以外は実はちょっと読むのが面倒だ。でも基本的にこのモデルに対する唯一の不満であり、それはとても小さい不満である。

タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ、ブラックエディション
タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフのケースサイド
タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフの裏蓋
厚みから装着感に至るまで、ほとんどすべての面においてこの新しいカレラは機能的に完璧である。自動巻きCal.TH20-00のローターのデザインを変更することでムーブメントと時計全体に高級感を与えていて、しかも80万8500円(税込)と価格設定も大変魅力的だ。

結局自分は、最終的にブルー文字盤を選ぶかもしれないが、パティーナ風のレトロな雰囲気に引かれた多くのマニアがこの1本を手にするビジョンが見えてくる。タグ・ホイヤーが過去にオマージュを捧げたのは今回が初めてではないが、一般的には文字どおり再解釈程度にとどめている。ロンドンでのイベントに先駆けてブランドCEOのフレデリック・アルノー(Frederic Arnault)氏と話をする機会があったのだが、彼はこれらのリリースについてとても興味深いことを語ってくれた。「私たちは(これらの時計が)ヴィンテージの復刻盤というポテンシャルに限界を感じていました」。続けて、「“どうやれば現代の時計に沿うように、モダナイズし続けられるだろう?”という思考になったのです」

タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ、ブラックエディション
このモデルはまさにそれを表現しているのだ。文字盤でタグ・ホイヤーと名乗るさまはまるで誇らしげに見えてくる。そして過去に敬意を払いながらコレクションを再び盛り上げているようにも感じている。タキメータースケールが持つ優美な曲線が新鮮に感じられる一方、数字自体のプリントでオールドスクール的な古めかしさも存在している。これらはこの新しいコレクションが示すバランスの一例に過ぎない。

タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ、ブラックエディション
同モデルはカレラシリーズ全体が今後成長するための新しいプラットフォームのファーストモデルである。そして個人的には、これは素晴らしいスタートを切ったと思うのだ。

ロレックス デイトナが、来週のニューヨーク・オークションに登場。

サザビーズ・ニューヨークでは、ピンク・オン・ピンクのパテック 1518と宇宙飛行士に贈られたスピードマスターが注目を集めた。
ポール・ニューマンが所有した2本のロレックス デイトナがヘッドラインを飾る。いや、それらは“ポール・ニューマン”デイトナではないが、サザビーズはこのモダンな時計にそれぞれ50万ドルから100万ドル(約6950万円〜約1億3900万円)の見積もりをつけている。

最初の時計は、いわゆる“ゼニス” デイトナ Ref.16520で、1995年のデイトナ 24時間レースでチームが優勝した際にニューマンに贈られたものだ。70歳のポールはレース最年長優勝者(編注;年齢制限のあるクラスで参加した)であり、デイトナのケースバックには“Rolex Daytona 24 Paul Newman Rolex Motorsport Man of the Year 1995”と刻まれている。ゼニス デイトナは、4年後の1999年にアンティコルムの“Famous Faces”オークションで実際に登場し、3万9000ドル(約450万円/このオークションで最もいい成績を収めたロット)で落札され、収益はすべて慈善事業に寄付された。1999年のオークションカタログはまさにタイムカプセルで、エルトン・ジョン、ジェリー・サインフェルド、マドンナの時計も掲載されていた。このオークションで2番目に売れたのは、ロバート・レッドフォードに代わって寄付した”マスター オブ コンプリケーション“を自称するフランク ミュラーのパーペチュアルカレンダー クロノグラフだった。
サザビーズによると、そのオークション開催後のある時点で、近親者がデイトナをポールに返したという。その後、ニューマンの娘であるネル・ニューマン氏が、コネチカット州にあるニューマンの自宅の事務所を調べた際に発見した。現在、サザビーズは“ジョアン・ウッドワードとポール・ニューマンの世界(World of Joanne Woodward and Paul Newman)”と題し、今後数週間にわたり複数の部門にまたがるオークションを開催し、300点以上におよぶアイテムのひとつとして出品している。

2本目のデイトナとなるホワイトゴールドのRef.116519は、ニューマンの妻であるジョアン・ウッドワード氏が2006年に贈ったもので、ケースバックには(時計愛好家にとっては)今や有名な“Drive Very Slowly Joanne”文字が刻まれている。この時計は、彼女が長年にわたってニューマンに贈った3つの時計のうちのひとつだ。ほかのふたつはここ数年でオークションに登場しており、彼の6263は2020年に547万5000ドル(約5億6780万円)で落札され、もちろんポール・ニューマンのポール・ニューマン 6239は2017年に当時の最高額となる1770万ドル(約20億円)で落札されている。サザビーズによると、これはニューマンが所有した唯一の貴金属製デイトナであり、2008年に亡くなる前にウッドワード氏から贈られた最後の時計だったそうだ。しかし、亡くなるわずか1カ月前、彼はライム・ロック・パークでGT1 コルベットに乗り、このデイトナを手首に装着して最後のレースラップを刻んだ。
このふたつのデイトナは、ヴィンテージの6239や6263の実績には及ばないものの、50万ドルから100万ドル(約6950万円〜約1億3900万円)という見積もりは保守的だと思う。このふたつのうち、ウッドワード氏が贈ったホワイトゴールドのデイトナは、より望ましいと感じられるが、これは彼女が夫に贈った時計の系譜の一部で、最初のポール・ニューマンまで遡ることができる。確かに、この時計は現代のもので彼が所有していたのは2、3年にすぎず、古い時計のような思い出のパティーナは見あたらない。しかし20世紀におけるハリウッドの有名な関係のひとつであり、現代の時計収集市場を実質的に作り上げたひとつの証として、この時計はまだ特別な存在だ。
2020年に落札されたラピス文字盤のユニークなプラチナモデルが達成した327万ドル(約3億4924万円)という、モダンなデイトナの高水準価格を上回ることができるかどうか、私は注目しているのだ。

私のように、これらのデイトナが予算外である場合、このオークションにはほかにもいくつかのニューマンピースが出品されている。ポール・ニューマンの名前が底に刻まれたティファニーのアラームクロック(予約なし)、ジョアン・ウッドワード氏が所有していたホワイトゴールド製の豪華なパテック フィリップ クッションウォッチ(推定2000~5000ドル)、さらにニューマンが最後のレースで着用したスーツもある。

サザビーズのオークションは、ニューマンとウッドワードだけではない。上から下まで充実したカタログになっており、 先月ジュネーブで見た(そのときビッグハウスのなかで内容が最も乏しかったと私は言った)ものよりも、おそらく充実していると思う。
今回のオークションで最も大きなロットは、市場に出たばかりのピンク・オン・ピンクのパテック 1518永久カレンダークロノグラフで、わずか15本しか存在を知られていない。この時計は、先月ジュネーブで少し見たが、とてもゴージャスな時計だった。サザビーズで2021年12月に約1000万ドル(13億8870万円)で落札された最後の個体ほど完璧ではないが、ほぼ同じようにエキサイティングだ。サザビーズのスペシャリスト、ジョナサン・バーフォード氏がこの1518を発見したのは、その最後の1518のモンスターセールのおかげだった。この時計の委託者は風防が付いていない状態で30年間引き出しのなかに眠らせていたのだ。そのため、この時計は文字盤の中央付近にほんの少し不均一な摩耗があるものの、とてもいい状態に見える。しかしケースは豪華に見え、このような古い時計ではしばしば見られる爪楊枝のように磨かれた太くてシャープなラグを備えている。サザビーズは、この1518に250万ドルから450万ドル(約3億4720万円〜約6億2495万円)の見積もりをつけている。先月ジュネーブで、ピンクゴールドの2499が320万スイスフラン(約4億9100万円)で落札されるなど、パテックのコンプリケーションが好調だったことから、私はこの1518がこの高い見積もり額の近くかそれ以上になると予想する。以前にも述べたように、このように鮮明でオリジナル、そして確かなコンディションを持つ市場に出たばかりの時計は、最も皮肉なコレクターでさえも興奮させるだろう。

今回のオークションでは、ニューマンのデイトナをはじめ、多くの時計が“ケースバックウォッチ”だと思っている。裏返してケースバックの刻印を見ると、その時計が持つストーリーがよくわかるからだ。数週間前に、8人の宇宙飛行士の記念品であるオメガのアポロXI スピードマスターが、1年足らずのあいだにオークションに出品されることになった奇妙な宇宙の力について書いた。昨年秋にウォーリー・シラーのものが190万ドル(約2億6360万円)で落札されたあと、市場はかなり冷え込み、最近ではピーター・コンラッド船長のものが5月にフィリップス香港で約17万8000ドル(約2470万円)で落札された。サザビーズでは、アポロ13号の司令船パイロット、ジャック・スワイガート・ジュニアのものを彼の甥から直接入手し、この一連のスピーディの最後の1本であるとしている。
オメガは、アポロ11号の月面着陸成功後の祝賀会で、この記念すべきゴールドのスピードマスターの最初の28本を宇宙飛行士に(そして辞退せざるを得なかったニクソン大統領とアグニュー副大統領に)贈っている。その後、アポロ17号までの宇宙飛行士と、この祝賀会後に初飛行した宇宙飛行士たちに10本が贈られた。オリジナルと同様、“To mark man's conquest of space with time, through time, on time.(時間とともに、時間を通して、時間通りに達成された人類の宇宙進出を記念して)”という刻印がある。
サザビーズは、スワイガートのスピードマスターに12万ドルから18万ドル(約1665万円〜約2500万円)の見積もりを出している。この1年間、スピードマスターの落札価格がどのように上下してきたかを考えると、どうなるかはわからないが、もしこの見積もりの範囲内に入れば(先月のコンラッドのように)、長い目で見れば誰かが素晴らしい取引をしたことになるだろう。この1年でどれだけの数が登場したとしても、このような宇宙飛行士が所有したスピードマスターはあと40本もない。私にとっては、今でも最もクールで歴史的に興味深い時計のひとつだ。

ランゲ1・タイムゾーンコレクションに、プラチナモデルを追加した。

同色のロジウムカラーダイヤルと組み合わされ、世界中を飛び回ることができるランゲ1に、モノクローム感をプラス。最も洗練されたタイムゾーンウォッチのひとつが誕生した。

1994年に発表されたランゲ1は、現代における優れた時計デザインのひとつである。今日では、トゥールビヨン、永久カレンダー、ムーンフェイズなど、ランゲ1・タイムゾーンを含む多くの機能を備えた真の時計ファミリーを形成している。審美的に、これらはすべてオリジナルのランゲ1と同じデザインを採用しており、また技術面においても、4分の3プレート、エングレーブ入りテンプ受け、そして全体に施された精巧な仕上げなど、ドイツの古典的ムーブメント構造を備えている。既存のランゲ1・タイムゾーンと同様、プラチナ950製の新モデル(Ref.137.025)にもCal.L141.1を搭載。これは、ランゲが2020年にゴールド製タイムゾーンを発表した際に、初めて披露したものである。この新しいキャリバーにより24時間表示がアップデートされ、メインダイヤルとなる中央の回転ディスクが、24時間ごとに1回転して表示されるようになった。そして時針が青い部分にかかっているとき、そのタイムゾーンは午後となる。文字盤の外側に都市リングを配し、8時位置のプッシャーで調整ができる。このプッシャーで都市リングやタイムゾーンの時針、デイ&ナイトディスクを進める必要があるため、実際には67個のコンポーネントを持つ複雑なメカニズムが搭載されている。

4時位置にある小さなポインター(上の写真ではニューヨークを指している)は、タイムゾーンの基準となる都市を示す機能だ。だが2020年のアップデートにより、その都市でサマータイムが実施されているかどうかを示す小さなウィンドウが追加され、該当する都市の場合は、上の写真のように赤く、そうでなければ白く、ポインターが切り替わる仕様となった。ただし、その時間にサマータイムが適用されているかどうかはわからない。それは技術的に不可能であり、基本的にはパーペチュアルカレンダーの仕組みが必要になるわけで、異なるタイムゾーンが半不規則的にサマータイム(または夏時間)に切り替わるという事実はい言うまでもない(この事実が、これまで私たちがエンバーゴを台無しにしたことがあるかどうかは聞かないでほしい)が、Cal.L141.1としては素晴らしく機能的な付加価値である。


プラチナケースのサイズは41.9mm径×10.9mm厚(ラグからラグまでの長さは50mm)で、ロジウムカラーの文字盤とブラックアリゲーターストラップを組み合わせている。これは“ステルス(静かな)”なランゲ1のようにコレクターの好みを刺激する、ブランドの伝統的なコンビネーションである。またローカルタイムゾーン、セカンドタイムゾーン、パワーリザーブインジケーターに加え、サマータイムインジケーターと、ランゲ1の特徴であるアウトサイズデイトも装備する。


プラチナ製のランゲ1・タイムゾーンは、ランゲブティックでのみ販売され、価格は要問い合わせだ。参考までに、現在価格が公表されているランゲ1・タイムゾーンはピンクゴールド製(Ref.136.032)のみで、こちらの価格は860万2000円(税込)で提供されている。

我々の考え

“もし誰かが“私”(ジャーナリストであり、時計学に焦点を当てたこのブログの編集者である私ことベン・クライマー)に合う時計をデザインするとしたら、A.ランゲ&ゾーネ ランゲ1・タイムゾーン ホワイトゴールド ルミナスのような時計になるかもしれない”。2012年、私たちのベン・クライマーが、現代版のランゲ1・タイムゾーンをレビューしたときに書いた一文だ。あれから10年以上経った今、私の感覚が変わったとは言い難い。それ以来、タイムゾーンは少しずつ改良・アップデートされてきた。プラチナケースにシルバー文字盤というのも、非常にランゲらしい。これがすでにカタログに存在していると言われたら、おそらく私は騙されただろう。

ランゲのことを考えるたびに、いつか自分のコレクションに加えられたらいいなと思っている。また真面目でよくできたものが好きだと主張する熱狂的なファンにとっては、ほとんど必需品のようにも感じられる。今でもランゲは、年産数千本の時計を製造しているに過ぎず、それ以上を作ることにはあまり関心がないようだ(実際、様々な動機から生産量を減らしているようだがそれはまた別の話だ)。私がランゲのことを考えるとき、たいてい最初にクロノグラフを思い浮かべる。革新的なダトグラフや、より気軽に着用できる1815ではない。ランゲ1・タイムゾーンは、A.ランゲ&ゾーネがクロノグラフ以外にもいろんな時計を製造していることを、気取らずに教えてくれるコレクションなのだ。

基本情報
ブランド: A.ランゲ&ゾーネ(A. Lange & Söhne)
モデル名: ランゲ1・タイムゾーン(Lange 1 Time Zone)
型番: 137.025

直径: 41.9mm
厚さ: 10.9mm
ケース素材: プラチナ950
文字盤: ロジウム
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ブラックアリゲーターレザーストラップ、プラチナバックル

ムーブメント情報
キャリバー: L141.1
機能: 時・分・スモールセコンド、アウトサイズデイト表示、デイ&ナイト表示、タイムゾーン、パワーリザーブインジケーター
直径: 34.1mm
パワーリザーブ: 約72時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 38
追加情報: パーツ総数448点、4分の3プレート、エングレーブ入りテンプ受け

ユーティリティ

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