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ジン クラシックな103クロノグラフに手巻きムーブメントを載せてアップデート。

ジェームズが先日紹介したU50ダイバーズに加えて、ジャーマンウォッチブランドのジンが伝統にインスパイアされた103.St.Ty.Hd クロノグラフをリリースした。これは20年ぶりとなる手巻きの103クロノグラフである。

新しいジン 103.St.Ty.Hd クロノグラフは、直径41mm、厚さ14.8mm(ラグ幅20mm)のステンレススティール製ケースであり、200mの防水性を備えている。セリタ製SW510の手巻きキャリバーを搭載しており、2万8800振動/時で作動し、約58時間のパワーリザーブを確保している。ブラック文字盤にはアプライドインデックスが配され、伝統的な3レジスターのレイアウトと、クロノグラフ秒針のディープレッドアクセントが特徴だ。またブラックのパイロットベゼルの12時位置には夜光もあり、インナーベゼルにはタキメータースケールが刻まれている。

ジン 103.St.Ty.Hdは世界限定1000本で、価格は66万円(税込)である。

我々の考え
新しい103クロノグラフは、古典的なジンによる堅実なアップデートのように見える。ブラックのダイヤルとベゼルに対して、赤のアクセントがよく効いている。完璧な実用性を感じさせる、これこそ完璧なジンである。

サイズはパイロットウォッチに求められるものであり、大きくても圧迫感はない。またドイツのDIN規格(Deutsches InstitutfürNormung)に準拠した耐磁性と防水性など、ジンのツールウォッチが人々に愛される、すべての要素を備えている。さらにアクリル風防を採用し、昔ながらの103にオマージュを捧げている。

アップデートされたU50のラインナップと並んで、新しい103.St.Ty.Hdクロノグラフはヘリテージインスピレーションを見事に備えた時計であり、ジン愛好家が楽しめるのではないかと思う。

sinn 103 chronograph 2024
ジン 103.St.Ty.Hd。41mm径×14.8mm厚(ラグ幅20mm、ラグからラグまでは47.5mm)。ステンレススティール、200m防水。セリタ製手巻きCal.SW510M、2万8800振動/時、約58時間パワーリザーブ。世界限定1000本、希望小売価格は66万円(税込)。

時計収集の世界に長くいればいるほど、より初期に作られた時計、特に“近代”以前のモデルに興味を抱くようになる。

なぜかというと、例えばロレックス、オメガ、ホイヤーなどが1950年代から60年代にかけてはサブマリーナー、スピードマスター、カレラなどの時計をコレクションとして命名し、明確な区分を設け始めたタイミングであるからだ。しかし、これらの偉大なコレクションが登場する前に作られた時計は、存在のほとんどが知られていないだけでなく、そのピュアなデザインもまた魅力的なのだ。この記事では、フィリップスのジュネーブ・ウォッチ・オークションIIに出品されたロレックス製のコンプリケーションウォッチ全4本を紹介する。しかし、どれもサブマリーナー、GMTマスター、デイトナ、エクスプローラーの範疇には含まれない。だが、これらの時計には真の美しさが宿っている。

ロレックス Ref.3525 オイスター クロノグラフ
Rolex 3525
ロレックス Ref.3525はロレックス初の“オイスター”クロノグラフである。

 Ref.3525は、マーケットでめったにお目にかかれない時計のひとつである。本当にこの時計を理解しようとしない限り、その真価を見極めるのは難しい。Ref.3525はまた、オイスターケースに初めてクロノグラフを搭載したという点でロレックスにとって歴史的に重要な時計でもある。このリファレンスは1939年から1945年までの6年間しか製造されなかったが、フィリップスで見られるこの個体は、ここ数年で登場したイエローゴールドの時計としては間違いなく最高クラスの逸品である。

Rolex 3525
このRef.3525は、ケースに見られる見事な酸化が特徴的だ。

 おそらく新品時から研磨されていないと思われるこの時計は、ケースに深い酸化が見られる。洗浄や何らかの手入れをしてしまっていれば、この雰囲気はとっくの昔に失われていたに違いない。文字盤にプッシャー、リューズ、針、そしてオリジナルのイエローゴールドブレスレットまでもが新品同様で、さらに希少なブラックギルト文字盤が魅力を添えている。そうそう、この時計がジョン・ゴールドバーガー(John Goldberger)氏が執筆したロレックス本で紹介されていることはもう言っただろうか? そう、それほど素晴らしいものなのだ。事前につけられた予想落札価格は明らかにそのクオリティを反映している。フィリップスによれば、このRef.3525は20万スイスフランから40万スイスフラン(当時のレートで約2420万円から約4840万円)で取引されるはずだという。詳細はこちら。

 ちなみに、Ref.3525は実際に起こった“大脱走”で担った役割から、しばしば“捕虜(POW)”と称されている。

ロレックス パデローン Ref.8171 ステンレススティール製トリプルカレンダー ムーンフェイズ
Rolex 8171
スティール製のRef.8171は、世界でもっとも魅力的な時計のひとつである。

 ロレックスのフォーラムやマニュファクチュールの歴史に詳しい人たちはよく、トリプルカレンダーのムーンフェイズウォッチを復活させて欲しいと口にしている。ロレックスによるムーンフェイズ製造の歴史はそれほど長くないが、ムーンフェイズを搭載したふたつのリファレンス(ここで紹介するRef.8171と次の項目で紹介するRef.6062)は完璧に近かった。Ref.8171は、その薄型で大きなサイズ感から“パデローン”、あるいは“ビッグフライパン”と呼ばれることもある。まさに世界で最も魅力的な時計のひとつである。

Rolex 8171 Steel
これは、おそらく現存するRef.8171のなかでもっとも素晴らしい個体だろう。

 Ref.8171はスティール、ローズゴールド、イエローゴールドの3種類で展開され、総生産数はそれほど多くない。しかもスティール製はごくわずかしか存在せず、ポリッシュ仕上げが施されたり、修復されていない状態のものはほとんどない。このオーバーサイズなトリプルカレンダー ムーンフェイズの個体を熱心なコレクターにとっての“夢の時計”から“あがり時計”へと昇華させているのは、そのコンディションによるところが大きい。鮮やかなブルーのアクセントを添えた完璧なエイジングの文字盤と、シャープで鋭いケースエッジをご覧いただきたい。

Rolex 8171 Moonphase
Ref.8171は、ゴールドのムーンフェイズを備えている。

Rolex 8171 caseback
ケースバックに刻まれたロレックスの王冠にも注目。

 Ref.8171の良否を判断する方法のひとつが、裏蓋を見ることだ。裏蓋に刻まれたロレックスの王冠がまだはっきりと見える場合、その時計はあまり研磨されていないと言える。この個体では、王冠は深く刻まれており、この時計の全体的な品質を物語っている。このRef.8171の予想落札価格は35万から70万スイスフラン(当時のレートで約4235万円から約8470万円)で、スティール製ロレックスとしては高額だが、歴史、デザイン、希少性、品質を鑑みると平均的な6桁のデイトナをはるかに超える価値を持つ時計であることは間違いない。そして率直に言って、この時計はどんなデイトナよりもずっとクールだ。詳細はこちら。

 ちなみにクリスティーズは2013年12月に、同じようにポリッシュ仕上げが施されていないダイヤモンドマーカー付きのスティール製Ref.8171を114万ドル(当時のレートで約1億1230万円)以上で落札している。

ロレックス ステッリーネ Ref.6062 ピンクゴールド製トリプルカレンダー ムーンフェイズ スターダイヤル
Rolex 6062
ロレックスのRef.6062 ステッリーネは、ロレックス史上最高のデザインであると評価されている。

 上記のRef.8171の兄弟モデルであるRef.6062は、よりスタイリッシュなオイスターケースにまったく同じムーブメントとデイト表示を備えている。Ref.6062は1950年代初頭のわずか3年間しか製造されなかったが、ロレックスのデザインにおける絶対的な頂点のひとつと考えられている。

Rolex 6062
この貴重なピンクゴールドの時計は、“スターダイヤル”を備えている。

 この貴重なRef.6062は、ピンクゴールド製であること、そしてこのモデルが“ステッリーネ”と呼ばれる希少なスターダイヤルを備えていることでさらにその価値を高めている。この特別な個体は世界でもっとも完璧なヴィンテージ ロレックスのひとつであり、この個体は2004年以来、世界最高のコレクターによって暗い金庫にひっそりとしまわれてきた。それ以前は、この時計は最初の購入者の家族のもとでめったに使われない状態で保管されていた。

Rolex 6062
この非常に希少な時計には、オリジナルのピンクゴールド製ブレスレットも付属している。

 このステッリーネには、ケースとお揃いのピンクゴールドのブレスレットが付属している。このようなクオリティの時計は間違いなく高値で取引される。そう、ご想像のとおりだ。このピンクゴールド製Ref.6062 スターダイヤルの予想落札価格は50万から100万スイスフラン(当時のレートで約6050万円から約1億2100万円)で、スティール製のRef.8171よりもさらに高い。この素晴らしい時計の詳細はこちら。

 ちなみに地球上でもっとも魅力的な時計のひとつにSS製のRef.6062がある。2015年12月のHODINKEEコレクターズサミットで講演するジェイソン・シンガー(Jason Singer)氏とのTalking Watchesで、その一例が紹介されている。

ロレックス Ref.2737 レギュレーター ノンオイスター クロノグラフ
Rolex 2737
Ref.2737は珍しい非オイスターケースのクロノグラフで、レギュレーターを配したレイアウトのブラック文字盤が特徴的だ。

 Ref.3525のようにデイトナではないオイスター クロノグラフや、Ref.8171やRef.6062のようなトリプルカレンダー ムーンフェイズは、現在のロレックスにとっても十分に実現可能なものと思われる。だが、レギュレーター クロノグラフは今後もお目にかかることはないだろう。実際のところ、たいていの人々は、そもそもロレックスがレギュレーター クロノグラフを製造していなかったと考えているはずだ。しかしロレックスはそれを作り、ここにこうして存在している。Ref.2737は非常に希少な時計で、わずか12本しか作られなかったと思われる。この時計は1938年のもので、ヴィンテージ ロレックスの世界においては本当に特別なものだ。ここに見られるほかの初期ロレックスの時計と比較すると落札予想価格はやや控えめで、7万から10万スイスフラン(当時のレートで約847万円から約1210万円)である。ロレックスのこの見事なレギュレーター クロノグラフの詳細はこちら。

 ちなみに、ロレックスが早くからレギュレーターウォッチを発表していたのに対し、パテック フィリップは最近発表されたRef.5235Gまでレギュレーターモデルを発表していなかった。

最終的な感想
 私がこのような特別なロレックスのリストを作成したのは、Ref.6062のような時計を私が本当に大好きだからというだけでなく、ほかにどのような時計があるのかを紹介するためでもある。サブマリーナー、デイトナ、デイデイト、そして前世紀後半に作られたほかの時計が注目を浴びているからこそ、オイスターケースのスポーツウォッチよりも遥かに希少で美しいこれら初期の時計について、コレクターが十分な見識を得るためには長い年月を要することが多い。私たちにも責任はあるが、このような話をきっかけとして、より多くの人々に初期のモデルの素晴らしさに目を向けてもらえるのであればそれは大きな収穫だと思う。

 

関連商品:https://www.yokowatch.com/Rolex-Watch.html

パルマのアンティークフェアで見つけたお気に入りの時計たち。

あらゆるジャンルのコレクターが集まる大規模なものだ。もちろん、時計もその期待に違わぬものだった。

先週、ヨーロッパでの仕事の合間を縫って休暇を取っていたはずの私は、イタリア時計界からのサイレンのような呼び出しに抗えずミラノからパルマまで足を伸ばしていた。最終的には日を変えて、鉄道で計2回往復することになった。すでにご存じのように、私は時計に関することについては“消極的”だ。だが、イタリアのコレクターたちと一緒にいると何か心を動かされるものがある。

スーパーコピー時計 代引きしかし、なぜパルマなのか? 生ハムを食べるため(だけ)ではない。年に2回、人口20万人ほどの郊外の街にある巨大で広大なコンベンションセンターで“メルカンテ・イン・フィエラ(Mercante in Fiera)”が開催されているのだ。“パルマの見本市”と聞いて、私は間違ったイメージを持っていた。趣のある、少し老朽化したレンガ造りの建物に、小さなブースと数件の小売店が並んでいるだけだと思っていたのだ。だが、実際はそうではなかった。イタリアの国内外から時計だけでなく、アンティーク、家具、美術品など、何万人ものコレクターがこのフェアに集結し、売買やトレードで掘り出しものを1週間以上かけて狙っているのだ。

ここ数年で見本市における時計の価格は高騰してきているが、それでもまだいくつか良品が売りに出されているのを見たりもするし、(むしろ)来場者の手首に巻かれていたりする。本当は、ここで仕事をするつもりはなかった。しかし念のためにと、カメラを持ってきていた。そして、そう、私はこの下の写真の男性にせがまれて、このPhoto Reportを書くことになったのだ。彼に時計の写真を撮れと言われれば、私は写真を撮るのだ。

パルマのツアーガイドをしてくれた、ジョン・ゴールドバーガー(John Goldberger)氏。

彼はホワイトゴールド製のブレスレット付きオメガ コンステレーションを着用していたが、このモデルはよく見かけるメガクォーツ式ではない。珍しいことに機械式だ。
 その(撮影)プロセスは、まずゴールドバーガー氏が時計を手に取り、親指でクリスタルを掃除し、手のひらの上で重さを量り、時計を傾けて合格かどうかを確認してから、私に手渡すというものだった。そのうち、その工程を自分でやるようになった。会場には何十本ものデイトナに加え、あるケースのなかには4、5本のポール・ニューマンがあり、そしてたくさんのデイデイトと、そのほかにもありとあらゆる名機が存在していた。私が見つけたのは以下のとおりだ。

このマセイ・ティソ タイプ20 “ビッグアイ”は、ディーラーでありヴィンテージハンターでもあるアンジェロ・ガラミン(Angelo Gallamin)氏の私物だ。彼は10年以上前にeBayで厳しい戦いを強いられたと話してくれた。なお、売りものではない。

ブラウンダイヤルといえば、これは私のカメラで撮影していない(iPhoneで撮影した画質の悪い)2枚の時計画像のうちの1枚だ。ブラウンステラ文字盤と全面フィレンツェ仕上げのケースを持つ1962年製ロレックス Ref.1807で、リッチョーネのダニエーレ・マルマレーリ(Daniele Marmanelli)氏の店に展示されていた。私が撮影したときにはすでに売約済みだった。

私が昔から好きな時計のひとつ、UAE(アラブ首長国連邦)の防衛省のために作られたゴールドのロレックス Ref.1675。これも、マルマレーリ氏のものだ。

ロレックスのブラウンダイヤルをもう1本。こちらは、テンパス(Tempus)のエルヴィオ・ピヴァ(Elvio Piva)氏によるイエローゴールドのロレックス “テキサン”(イタリアでは“テキサノ”と呼ぶ)ことRef.5100だ。彼に関する記事はまた追って。

この時代に見られた奇妙な形の時計といえば、IWCのRef.9212がある。バーク仕上げにダイヤモンド、そして赤いハンジャールを備えたこの時計は、オマーンのスルタンのために作られたものだ。ノーチラスウォッチズが販売していた。

会場にはユニバーサル・ジュネーブ愛好家が大集結していた。ここにあるのは、あるコレクターが着用していたスクエアとサークルが融合した極めて興味深いマイクロローター搭載のホワイトゴールド製UGだ。非常に珍しく、私の記憶ではおそらくほかに例がない。

珍しいユニバーサル・ジュネーブをもう1本。個人コレクターが持っていたディスコ ヴォランテ コンピュール クロノグラフ。

テンパスのエルヴィオ・ピヴァ氏が持っていた別の時計もお見せしよう。こちらはジェラルド・ジェンタによるプッシュボタン式のプラチナ製ミニッツリピーターだ。ブレスレットのデザインが実に興味深い。

エルヴィオ氏最後の1本は、ギルトダイヤルのロレックス サブマリーナー Ref.5513だ。この時計はおもしろい出自を持つ。この時計はスウェーデン軍の元隊員のもので、第1次国際連合緊急軍に派遣された際に着用していたものだという。箱と書類、そしてその出所を証明する資料の束に加え、時計には勲章と、彼が派遣中に着用していた国連帽が付属している。

軍用時計といえば、アメリカ海軍のために製造され、クロノグラフを搭載しているにもかかわらず“ポールルーターサブ”と記載されたユニークな“スペースコンパックス”のプロトタイプを。世界でも指折りのユニバーサル・ジュネーブコレクターがついに入手したのだという。

ヴィンテージ市場において最古参のディーラーのひとりであるジェフ・ハリス(Jeff Harris)氏が、ドバイからパルマの駅まで迎えに来てくれた。彼はパテックのRef.3970R(わからない人のために説明しておくと、ローズゴールド製だ)を着用していた。

以前に休暇を利用して、ルガーノにあるザ・ウォッチブティック(The Watch Boutique)のひとつにアレッシオ・ゼンガ(Alessio Zenga)氏を訪ねて行ったことがあった。彼らは今回のフェアで、過小評価されているロレックスのクロノグラフのひとつであるRef.3055(“ピッコリーノ(Piccolino)”、または“ザ・リトルワン(The Little One)”と呼ばれる)を展示していた。そのサイズはわずか30mmだ(素晴らしい)。

最後に紹介するのは、今回のフェアで私がもっとも気に入り、価格がもっと安ければ買っていたであろう時計だ。スティールタイム(Steel Time)が出していたのは、ムーブメントにバルジュー71を搭載した18Kピンクゴールド製のレオニダスで、文字盤はブラックだった。ゴールドであしらわれた書体は、驚くほど美しかった。直径38.5mmと大きめで、パテックのRef.5970のケースにRef.5070風の文字盤を掛け合わせたような時計だった。

次の週末に訪れた際、ゴールドバーガー氏は数十年前に父親のために買ったというイエローゴールドのレオニダスを持参して見せてくれた。父親が一度も着用しなかったことから、ほとんど新品に近い手つかずの状態なのだという。

タイメックスグループ、タイメックス部門の新プレジデント、

タイミングが合わず、マルコ・ザンビアンキ氏への取材は実現しなかったが、ジョルジオ・ガリ S1 オートマチック、そしてジョルジオ・ガリ S2 オートマチックを手がけ、これまでの安価なカジュアルウォッチというイメージとはひと味異なる、新たなタイメックスの魅力を打ち出すジョルジオ・ガリ氏にインタビューすることができた。時計デザインにおける知られざるバックストーリーや、時計業界に大きなインパクトを与えるかもしれない現在進行中のプロジェクトについても話を聞いた。

ジョルジオさんがタイメックスグループに参加されてからの経歴を教えてください。

正確には1994年からタイメックスとは繋がりがありました。1994年にベネトンの持ち株会社だった21 インベスト(21 Investimenti)と協力して、時計やインダストリアル、プロダクトデザインなどを手がける会社を設立したのですが、90年代に人気だったベネトンウォッチは実を言うとタイメックスグループで作られていたんですよ。

 タイメックスグループに参画し始めたのは1996年ですね。といってもタイメックスブランドではなく、グループのライセンスブランド、ノーティカ(NAUTICA)の時計に携わるようになったのが最初です。その後、ヴェルサーチェなどほかのライセンスブランドの時計デザインにも参画して、2001年にコンサルタントとしてタイメックスに携わり始めました。

 ですから、すぐにタイメックスをやり始めたというわけではなく、ライセンスブランドからスタートして、たくさんの時計をデザインしましたね。2007年半ばには自分のデザイン会社をタイメックスに売却して、タイメックスデザインセンター/ジョルジオ・ガリ デザインラボ(Timex Design Center/Giorgio Galli Design Lab)という名前のデザインハウスを立ち上げるという形で、タイメックスのクリエイティブディレクターになりました。

佐藤
タイメックスに参加してデザインした代表作、特に思い入れのある時計はありますか?
ジョルジオ
 それはとても難しい質問ですね。もちろん過去にたくさんの時計をデザインしてきましたが、長年携わるあいだに常に進化していくもので、過去のことは過去のこと。私としては常にいま出しているもの、現在の最新デザインが自分の代表作だという気持ちで仕事をしています。

 答えになっているか分かりませんが、これがタイメックスだと言えるような何かを作りたいとは思っています。歴史や、そのなかで埃を被ってしまっているような部分をキレイに整えて、ブランドのコアとなるもの、ブランドを次のステップ、レベルに引き上げるためのコンセプトを常に考えています。本来ブランドが持ってる価値に焦点が当たるスイートスポットを見つけ出して、それを磨き上げるようなことをやっていきたいのです。でもそれは懐古主義ということではなく、ブランドの持つ価値を新しい視点で解釈し、新しいものを作り上げて、それをお客様に伝えていくということを意識しています。
 

佐藤
ジョルジオ・ガリ S1 オートマチックや、S2 オートマチックなど、近年はハイエンドなラインナップを拡大しようという意図が感じられますが、それはなぜですか?
ジョルジオ
 最近はそうした商品も出していますが、ブランドのコアはこれまでと同じで、高品質で求めやすい価格の時計を提供するというところはまったく変わっていません。やはりそこがブランドのDNA、ベースであるということはとても大切なことなのです。タイメックスのバックグウンドとして、例えば“ダラーウォッチ”のように1ドルに近い価格で懐中時計や、腕時計を提供していました。“この価格帯でこんなものが手に入る”というような革新性のあるものをタイメックスが出していたという歴史があります。

 ラインナップの拡大というよりも、ブランドとして自分たちのプロダクトの信頼性を増したり、コアとする価格帯ではないけれどクオリティやディテールに関して、これだけの技術力を持ち、信頼性の高いものが作れるということを示す側面が大きいですね。高級化を狙っている、高い時計を売りたいということではなくて、 この価格帯でこんなことができるブランドなんだということを見てもらうためのラインナップであると言えます。

 いい品質のものを手にしやすい価格帯で提供しようという部分は変わってないということがブランドにとって非常に重要なのです。(ジョルジオ・ガリ S2 オートマチックなどは)タイメックスとしては高く見えるかもしれませんが、相対的に世の中にあるほかのプロダクトと比較したときに高額になってしまうようなものも、同じ仕上げ、同じ品質でタイメックスは手にしやすい価格で提供していることを知ってもらいたいというのが、最近のラインナップの意図ということですね。

佐藤
S1、S2などに見られる、肉抜きしたミドルケースデザインはどのように生まれたのですか? 
ジョルジオ
 そもそもジョルジオ・ガリコレクションというのは、 タイメックスグループのCEO(トビアス・リース・シュミット/Tobias Reiss Schmidt)から「これまでにたくさんデザインをしてくれているけど、自分が本当にしたいことは何かある?」という宿題をもらったことがきっかけで誕生しています。そのときはアメリカにいたのですが、ミラノに帰っていろいろと考え、自分のエッセンスとタイメックスというブランドの名前から逸脱しないけれど、モダンなスタイル、現代っぽさを少し感じさせるものにしたいと思いました。自分の名前を冠したコレクションをタイメックスブランドとして出すにあたって、やはりタイメックスでのキャリア、そしてデザイナーとしての自分自身のキャリアをどうやったら掛け合わせることができるかを考えたのです。

 コレクションに共通して取り入れている肉抜きしたミドルケースデザインというのは、実は1996年にノーティカをデザインをしたときに取り入れていたディテールです。いまでこそ珍しくはないですが、当時はとても珍しいデザインでありディテールでした。ですから、自身の名前がついたプロダクトを形にするにあたって、これを現代的にアップデートして取り入れることは、デザイナーとしての自分自身のキャリア、タイメックスブランドとしてのキャリアとしてもふさわしいものになると考えました。そこに新しさを加えることは楽しい一方、挑戦的なことではあったのですが、おかげさまでS1もS2も非常に好評で多くの反響がありました。 今後何十年か経ち、ブランドのアーカイブに入ったらうれしいですね。

佐藤
ジョルジオ・ガリ S2 オートマチックは40年ぶりのスイス製タイメックスだそうですが、何か特別な意図はあったのでしょうか?
ジョルジオ
 ちょっと厳密な年は分かりませんが、おそらく70年代の初め頃にそういう時計があったようですね。それがどうして消えてしまったのか、どんな時計だったのかは定かではないのですが…。 ただ、S2に関して言うと最初からスイスメイドのムーブメントを使おうという特別な意図はありませんでした。

 強調しておきたいのは、スイスメイドのムーブメントの使用は戦略やマーケティングの観点に基づいたものではなくて、結果論として搭載されたということです。S2のデザインをしていくなかで、どうやったらより洗練させられるか、よりよいものができるのだろうだろうかと考えたときに、これまでと同じようなムーブメントではなく、スイスメイドであればよりブラッシュアップされて、品質も上がるだろうということ、とにかくいいものを作ろうという考えの結果であることは付け加えておきたいですね。

 ジョルジオ・ガリコレクションは、自分が作りたいものを作るということからスタートしていることもあって、最終サンプルを見せるまでCEOには途中経過や資料のチェックなども特になくプロジェクトが進んでいきました。そういった信頼関係のなかで仕事できたことは幸運でしたし、タイメックスのような規模の大きな会社でそれが実現できたのはユニークだったと思います。売れたという事実もそうですが、タイメックスで新たな魅力を示すことができたのは、このコレクションがもたらしたプライスレスな成果です。

佐藤
デザインする上で大切にしていること、あるいはデザインにおけるプライオリティはありますか?
ジョルジオ
 いきなり時計をデザインし始めるわけではないんですよ。もちろんどんなプロジェクトなのか、どんな時計を作りたいか、作らなければならないかによっても異なりますが、私の場合はストーリーから始めます。大きなビルがあるとして、どういう景観に対して、どういうビルだったら美しいか、どういう建物が求められているかということにも言い換えられますが、“もしこんな時計があったらどうだろう?”ということを夢想して、どういう時計が求められるかを考え始めるのです。例えばアーリーセンチュリーかミッドセンチュリーか、スポーティーかエレガントかによっても考えることは変わっていきます。そこから、この時計をつけたらどうだろうと思いを巡らせて、まずはケースのシェイプ、そこから文字盤、針、インデックス…と、考えていくのです。

 ディテールはもちろん詰めていくんですけど、最初にデザインする上で考えるのは、まずストーリーがあって、この時計をする人はどういう人だろうとか、どういうふうにつけてもらいたいか、つけたらどんなふうに見えるだろうかと考えて、そこにちゃんとストーリーが伴うことが非常に大事なことだと思います。

 今日持っているマーリンジェット オートマチックを例にしてみましょう。マーリンは実際に1950年代、60年代にあったタイメックスの時計なんですが、60年代に有名だった『宇宙家族ジェットソン』というアニメからインスピレーションを得ました。この時計をデザインするときに考えたのは、60年代の時計を復刻することではなくて、例えば、その『宇宙家族ジェットソン』に見られる60年代の人たちが見ていた近未来ってどんなものだっただろうということでした。いろいろな資料を参考にしながら、そっくりそのままそれを持ち込むのではなくて、それを自分なりに解釈して、ここをこうしたら今っぽくなるのではないかという考えを詰め込んだのが、このマーリンジェット オートマチックです。ちょっとレトロスペクティブではあるけど、ただ60年代当時のままではなく、その当時の人たちが、どういう近未来を想像していたかを時計で表現しています。
 

 

ロレックス チェリーニに代わるドレスアップモデルとして1908コレクションを発表した。

昨年、パーペチュアル 1908コレクションをローンチしたロレックスだが、この度新たなドレスコレクションとしてプラチナケースに“ライスグレイン”モチーフダイヤルを組み合わせた時計を投入した。ロレックスは昨年のリリースで伝統的なスタイルを守ったが、プラチナ 1908はより大胆なステートメントを目指しているようである。

ロレックスは昨年、チェリーニに代わるドレスアップモデルとして1908コレクションを発表した。イエローゴールドとホワイトゴールドケースに、シルバーまたはブラック文字盤を組み合わせたシンプルなモデルを4型リリースした。そしていま、プラチナ 1908が導入された。典型的なロレックススタイルでありながら、“ライスグレイン”と呼ばれるモチーフのアイスブルー文字盤と組み合わされている。ブラウンのアリゲーターストラップには、昨年の1908ストラップと同様、グリーンの裏地が付いている。

ロレックスによると、文字盤はエンジン・ターニング(ギヨシェ彫り)加工が施されており、切削工具を用いて文字盤の表面に模様を彫刻している。それはロレックスがいかに、“パーペチュアルコレクションを、古典的な時計製造技術へのオマージュとして据えているか”を示している。数字、スモールセコンド、インデックスは、昨年の金無垢バージョンと同じ。プラチナケースのサイズは39mm、厚さは9.5mm。シースルーバックから見えるのも既存モデルと同様、ゴールドローターを備えたロレックス製Cal.7140である。シリコン製シロキシ・ヘアスプリングと、約66時間のパワーリザーブを備えた自動巻きムーブメントであり、ロレックスの最高水準である、日差-2~+2(ケーシング後)という精度を誇る。


プラチナ製パーペチュアル 1908の希望小売価格は437万300円(税込)だ。

我々の考え

昨年発表されたパーペチュアル 1908コレクションはワクワクしたが、ロレックスの新しいドレスウォッチのラインナップの基礎を築いただけのように感じたのも事実。また39mmはそのほとんどの面積が文字盤のため、少し大きく感じた。ただ新しい“ライスグレイン”ギヨシェのモチーフは、そのスペースを埋めるものであり、そのテクスチャーパターンが実際にどのように見えるのか、楽しみにしている。
 それ以上に、私はロレックスが1908を“伝統的な時計製造技術に自社のノウハウと創造性を注いだオマージュ”と表現したことに興味をそそられる。これが1908の方向性であるならば、複雑さ、クラフツマンシップなど、今後多くのバリエーションが広がる可能性を秘めている。


基本情報
ブランド: ロレックス(Rolex)
モデル名: パーペチュアル 1908(Perpetual 1908)
型番: 52506

直径: 39mm
厚さ: 9.5mm
ケース素材: プラチナ950
文字盤: アイスブルー
インデックス: アプライド
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: ブラウンアリゲーターストラップ、プラチナ製デュアルクラスプ

ムーブメント情報
キャリバー: 7140
機能: 時・分・スモールセコンド
パワーリザーブ: 約66時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 38
クロノメーター: 高精度クロノメーター(日差-2~+2秒)

価格 & 発売時期
価格: 437万300円(税込)

関連商品:https://www.hicopy.jp/brand-copy-IP-1.html

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