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これは最も希少で、最も美しいデイトナのひとつだ。

ロレックス デイトナ 6240 ソロは今どうなっているのか?

このデイトナの文字盤には、“COSMOGRAPH”も、“OYSTER”も、ましてや“DAYTONA”という字もない。書かれているのは“ROLEX”だけ。これは興味深い時計であり、文字盤の印刷の多くが段階的に行われたことを考えれば納得がいく。しかしこれらの文字盤はどこから来たのか、そしてどの時計に付けられているのか? これについて、先週私のデスクに届いたRef.6240を参考に、少し検証をしてみよう。

まずはデイトナダイヤルの進化について理解を深める

ポール・ニューマン デイトナのReference Points記事を読んだ人なら、デイトナの文字盤印刷がゆっくり進化した過程にあったことを知っているはずだ。ある方法で始まり、“デイトナ”という名前が付けられ、そこから発展していった。その後、ロレックスのブランド名であるクロノグラフに“オイスター”ケースが提供されると、再び進化を遂げる。これらはすべて数年以内に起こったことであり、多くの場合、ある方法で生まれたダイヤルが、後から1行付け加えられたということがある。例えば、“RCO”や“オイスター ソット”と呼ばれる、信じられないほど初期のオイスター ポール・ニューマンに見られるようなものだ。もちろんこれらの用語は後付けのようなものとして、“ROLEX COSMOGRAPH”という言葉の下に、“OYSTER”を付け加えたことを示している。

デイトナダイヤルの究極の進化例である、“RCO” デイトナ。
デイトナの世界は“ミッシングリンク”ダイヤル、つまりある文字盤の特徴とほかの文字盤タイプの特徴を併せ持つものが数多く存在する。そして、それが正しい可能性も秘めている。例えばダブルスイスダイヤル、ダブルスイスアンダーラインダイヤル、ダブルT-Swiss-Tダイヤルなどがあり、これらはすべて非常に小さなシリアル番号のレンジ内で発見できる。

シリアルナンバー923xxx、ダブルスイス&アンダーライン入り。Courtesy of Sheartime.com

シリアルナンバー1,04x,xxx、アンダーラインなしと“T-Swiss-T”が特徴。Courtesy of ShearTime
ヴィンテージデイトナについては、よく見かける6239と6263からめったに見られない6264や6240まで、いくつかの異なるリファレンスがあるが、私が最も興味深いと思っているのは、このRef.6240だ。

では、6240はどうなっているのか?

初期の6239のダブルスイスは、デイトナのなかでは間違いなく最も魅力的な組み合わせだと、私は今でも思っている(その昔、私がそれらについて書いた記事を読んでほしい)。当時はまだル・マンと呼ばれており、このファミリーを築くにあたってのコンセプトは具現化されていなかった。しかし個人的なリファレンスとして、6240は魅力的である。ねじ込み式プッシャーとブラックベゼルを備えた、現在のデイトナの基礎を築いたモデルである。まさに最初の“オイスター”デイトナであり、防水性はロレックスの代名詞とも言える品質だったため、その意味は何よりも大きい(詳しくはロレックスのInside The Manufacture記事を参照)。1,200,000~1,600,000までのシリアル番号を持つ6240には、多彩な種類のダイヤルが存在する。最も一般的に見られるのは、“OYSTER”または“DAYTONA”の文字がなく、6時位置に“T-Swiss-T”があるものだ。次に、最も一般的に受け入れられている2種類のダイヤルを紹介する。

6240、通称“ビッグデイトナ”。Courtsey of RingofColor.com

対して、こちらは6240の“スモールデイトナ”。Courtsey of RingofColor.com
上に掲載した文字盤のいくつかの進化系は、6240 RCO(藤原ヒロシ氏が運営するRingOfColor.comに掲載された、6240に関する素晴らしい記事より引用)のもので、10本以下しか知られておらず、売りに出されると高値で取引される。“ROC”ダイヤルを持つ6240も見かけるが、いずれも下部にT-Swiss-T、またはシグマサインがある。だが、私はこれらを少し受け入れがたいカテゴリーに分類したい。純粋な6240が欲しいのであれば、上のふたつの文字盤のどちらかがいいと思う。繰り返しになるが、私はROCスタイルのダイヤルを持つ6240が正しくないと言っているのではなく、このような初期のねじ込み式だと、非オイスター文字盤のほうが理にかなっていると思っているのだ。

2016年5月、フィリップスにて6240 “RCO”が、28万1000スイスフラン(当時の相場で約3100万円)で落札された。
現在すべてのパーツを完備した6240には、下に見えるMK1ベゼルとMK0のブラスプッシャーが付いているはずだが、6240の大多数はどちらか一方を失っている。私にとっては初期の6239で言ったように、6240を特徴づける特徴がない限りそれを購入する意味はない。だからMK0のプッシャーがなければ、個人的に6240にはほとんど興味がわかないのだ。

次にソロダイヤルについて

珍しい“ソロ”ダイヤルが特徴のRef.6240。
あえて言うならば、6240ダイヤルの正確性はたとえヴィンテージロレックスの収集という不透明な世界であっても、想像しうる限り曖昧な領域である。そこで手元にある時計、6240 “ソロ”を紹介しよう。
 これまでのところ、特に1960年代初期のデイトナでは、文字盤に異なる文字列がある場合とない場合があるのをこれまで見てきた。デイトナのダイヤルのなかで最も小さいのが、ここにある“ソロ”ダイヤルだ。この文字盤にあるのは“ROLEX”の文字だけ。ほかにはない。というのも、ごく初期の6240は、最初からこの文字盤だった可能性があるのだ。古いロレックスの例に漏れず、ロレックスはこれらの文字盤の起源について肯定も否定もしない。現在の市場では、シリアルナンバーが1,200,000~1,400,000の6240で、これらのソロダイヤルを見ることができる。数年前から時々現れるようになったが、実際に注目している人はほとんどいなかった。

この6240 ソロは、2015年5月にフィリップスで24万5000スイスフラン(当時の相場で約3085万円)で販売された。
6240 ソロのコンセプトは、2015年5月に行われたフィリップス・ジュネーブウォッチオークション ワン・セールでの個体が、24万5000スイスフラン(当時の相場で約3085万円)で落札されたことで確固たるものとなった。その後、市場はこれらの時計を狩り始めたようで、オークションやそのほかの場所で多くのものが表面化していった。実際、この記事を書いている時点では、Chrono24.comで入手可能な例があり、このオリジナル写真で紹介したものも入手が可能だった。この時計を所有しているEast Crownの写真には4本の6240 ソロが写っているが、うち3本は非公開の開催のようだ。

しかし6240 ソロは理にかなっているだろうか? そう思う人もいれば、そうでない人もいる。ひと握りの信頼できるディーラーや愛好家のあいだでは、このソロダイヤルは6238用のサービスダイヤルであるという説もある。ただこれは、必ずしも私自身が信じていることではない。前提がそうなら、なぜロレックスはタキメータースケールが印刷されたモノクロ文字盤を、タキメーターのない2色文字盤に交換したのだろう? ただただ意味がわからなくなる。

6239はそうではないにしても、ソロダイヤルの本家本元であることは間違いない。
ただ私が信じているのは、これらのダイヤルはもともと6239に使われていたということだ。実際、私はそれを信じているというより、その理由を知っている。それを示すロレックスの広告にその様子が描かれているからだ。上の画像はゴールドバーガー(Goldberger)氏の提供によるもので、この広告にはソロデイトナが前面に出ており、その価格は連邦税を含むわずか210ドル(当時の相場で約7万5600円)で購入できると掲載されている。フィリップス香港にて、初期の6239ソロ ダイヤル(針とベゼルは交換されていたが)が販売されたが、あまり金額は集まらなかった。UPDATE: ホセ・ペレストロイカ(Jose Pereztroika)氏の熱心な調査により、フィリップスが2016年に香港で販売した個体は文字盤が変更されていたことが判明した。詳しくはこちらから。

この初期の6239 ソロは、フィリップスによって10万ドル(当時の相場で約1105万円)以下で売却された。ただアンティコルムで販売以来、この時計は何者かによって加工されていたのだろう。慎重にならなければいけない。
今では特別な文字盤を持つポンププッシャーの時計は、同じく特別な文字盤を持つオイスターデイトナほどセクシーではない。ポール・ニューマンがそれを教えてくれたのだ。だからディーラーはどこかでこのソロダイヤルを、6240ケースに収めるというアイデアを得た可能性は高い。私でさえ、6239 ソロより6240 ソロのほうがより魅力的だと認める。誤解しないでほしいのは、6240 ソロがそのように生まれなかったかもしれないと言っているのではないということ。それは私にとっては理にかなっているというだけだ。当時のロレックスがどのように機能していたか、そして生産と組み立てがいかに直線的で、しかも規制されていなかったかを忘れてはならない。もしこのような文字盤が組み立て中に入手可能で、時計職人がダイヤルを必要としていたなら、いとも簡単に出荷前の6240に文字盤を入れられただろう。我々は何も確実なことを知らないのだから、結局は理性が何を教えてくれるのか、そして個々の時計の背後にある物語に従うしかないのだ。私の知る限り、オリジナルオーナーの6240 ソロの時計の話は聞いたことがない(もし知っていて、その話を裏付けることができるのであれば、コメントを残して欲しい)。ただ6263 RCOと6240 RCO(ノンポール・ニューマン)のオリジナルオーナーの時計については聞いたことがある。同様に6239 ソロのオリジナルオーナーの時計が見つかったという話も耳にしたことがある。何度もお伝えするが、6240に疑問を投げかけるためにこのようなことを言っているわけではない。実際、これらの時計が際限なく興味深く魅力的であることは認めざるを得ない。ただ私は、10万ドル以上で取引される特別な時計について、そして市場で目にする機会が増えている時計について、現在の考えを述べたにすぎない。

冒頭で述べたように、6240は真に魅力的な時計であり、間違いなくロレックスの歴史のなかで最も重要なリファレンスのひとつである。そして市場に出回っている6240のこの小さな組み合わせは決して多数派ではなく、ヴィンテージデイトナの世界のほんの片隅にある、絶妙で極小なニュアンスにたまたま興味を持ったのだ。時間が経ち、より多くの人々が6240 ソロについて知るようになれば、私はさらに6240 ソロについてもっと理解できようになるだろう。そうしたらこのページは更新していくつもりだ。そこで質問だが、今6240 ソロについて知った上で、あなたはポール・ニューマンよりも6240 ソロを購入するだろうか? 私の考えでは、それはより興味深い選択であり、また控えめな選択であることは確かだが、彼らがどのようにして生まれたか確信するまではリスクが大きすぎるだろうか? 純粋にどっちに転ぶかわからないが、この時計についてどう考えたか、コメントで意見を聞かせて欲しい。

メルセデス・グライツが1927年に着用したロレックス オイスターが、

1927年にイギリス人泳者グライツが着用したこの歴史的な時計は、耐久の象徴であり、ロレックスの歴史において最も重要なタイムピースのひとつです。
 

1927年の“ヴィンディケーション・スイム(Vindication Swim、イギリス海峡再横断泳)”にて、メルセデス・グライツ(Mercedes Gleitze)が着用したロレックス オイスターが、25年ぶりに姿を現します。2025年11月、サザビーズのImportant Watches Live Saleに出品されるのです。この横断のストーリーはウォッチメイキングの伝説として知られていますが、彼女が首にリボンで下げていたあのオイスターそのものが人前に姿を現すことは、これまでほとんどありませんでした。

同年10月7日、メルセデス・グライツは15時間15分をかけてイギリス海峡を泳ぎ切り、同海峡横断を果たした初のイギリス人女性となりました。ところがその数日後、別の泳者が虚偽の成功を主張したことで、グライツの偉業に疑念が生じることになったのです。
ライバルの泳者が虚偽の主張を認めたあとも、グライツはすでに自らの記録を守るために再挑戦を決めていました。10月21日、悪化する天候のなか再び海へと向かったこの挑戦こそヴィンディケーション・スイムとして知られることになります。しかし彼女は氷のように冷たい海峡で10時間以上泳いだのち、やむなく断念せざるを得ませんでした。それでも残ったのは、あの時計と彼女が築いた伝説だったのです。

1927年10月11日、イギリス海峡横断を果たしてから4日後に撮影されたグライツ。Photo courtesy of Sotheby's. 
オイスターは水の侵入を防ぎながら動き続け、その防水ケースが約束どおりに機能することをロレックス自らが実証する結果となりました。私は、最良のマーケティングとは製品そのものだと常に信じていますが、この考えは1世紀前と同じく、今もなお真実であり続けています。ロレックスは小手先の宣伝など必要とせず、数週間後には『Daily Mail』に“海峡に挑んだ時計”と題した広告を掲載したのです。

ヴィンディケーション・スイム中のグライツ。Photo courtesy of Sotheby's.

ヴィンディケーション・スイムの途中にいるグライツ。Photo courtesy of Sotheby's.
グライツはその後、ブランドアンバサダーという概念がまだ存在しなかった時代に、ロレックス初のテスティモニー(ロレックス独自の用語。アンバサダーという意)となりました。彼女は生涯にわたってオイスターを身につけ続け、ロレックスもその名声を築くうえで彼女が果たした役割を決して忘れることはありませんでした。それから約1世紀を経た今も、ひとりの泳者とその時計は常に並び称され、ロレックス オイスターという存在そのものの象徴として語り継がれています。そして今、ブランド史上もっとも伝説的な時計のひとつが姿を現そうとしており、そのハンマーがどこで落ちるのか...注目が集まります。

メゾンのカルト的人気モデルが、エナメルダイヤルと自社製ムーブメント。

ルイ・ヴィトン モントレーはここ数年、時計界の潮流のなかで静かに存在感を示してきた。2023年にタイラー・ザ・クリエイター(Tyler, the Creator)氏が着用しているのが目撃され、その後TikTokでおなじみのヴィンテージウォッチ関係者によって再浮上。今年の初めにはルイ・ヴィトン 2025秋冬ウィメンズ・ファッションショーのランウェイで、アーティスティック・ディレクターであるニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquière)氏と、スタイリストのマリ=アメリー・ソーヴェ(Marie-Amélie Sauvé)氏がモデルの手首や首元をオリジナルのLV Iで飾った。9月末の2026春夏コレクションのランウェイではLV IIが登場し、今度はベルトの装飾として着用された。そして今回、メゾンは新しいモントレーを正式に発表した。これはルイ・ヴィトン初の腕時計の復活版だ。39mmのイエローゴールド(YG)製の本作はホワイトグラン・フー エナメル ダイヤル、自社製自動巻きムーブメントLFM MA01.02を搭載し、188本限定で製造される。

 モントレーは、1988年にLV IとLV IIとして誕生。どちらも、パリのオルセー駅をオルセー美術館へと変貌させたことで最もよく知られ、戦後のイタリアンデザインを決定づけたシャープでモダニズム的な家具やインテリアを手がけたイタリアの建築家兼デザイナー、ガエ・アウレンティ(Gae Aulenti)によってデザインされた。“私の作品にスタイルを定義することは不可能だ”と、アウレンティは1987年に『ニューヨーク・タイムズ』で語っているが、その言葉はここでは特にしっくりくる。ルイ・ヴィトンの時計製造への最初の進出にあたり、アウレンティがデザインし、ギュンター・ブリュームライン(Günter Blümlein)の指揮の下、IWCが製造を担当した。

 その結果として誕生したのが、ふたつのクォーツモデルだ。ひとつはLV Iで、ムーンフェイズ、デイト、アラーム機能を備えたYG製の40mm径ワールドタイマーが限定100本。もうひとつはLV IIで、37mm径のセラミック製アラームウォッチとして4000本が生産された。ジャン・アルノー(Jean Arnault)氏が2023年にInstagramに投稿した“NWA”で見られるように、ごく少数のホワイトゴールド製LV Iも製造された。これらは野心的ではあったが、決して完璧ではなかった。両モデルとも生産の遅延や技術的な問題に悩まされ、当時としては高額だった価格設定も販売の障壁となった。当時のモントレーは高価で難解であり、そしておそらく時代を少し先取りしすぎていたのである。しかし今見るとそのペブルシェイプ、12時位置のリューズ、そして初期の素材への実験は、失敗というよりも、時を経てカルト的な地位を確立した、珍しくも風変わりな回り道のように読み取れる。

ルイ・ヴィトン LV I “モントレー I” ワールドタイム、18KYG、クォーツ(1988年)

オールドモデルとニューモデル!
 この新しいモントレーはオリジナルに忠実でありながら、現在のルイ・ヴィトンのマニュファクチュールの実力を存分に発揮している。39mmのYG製ケースは完全に自社内でポリッシュ仕上げを施し、12時位置にはクル・ド・パリをあしらった特徴的なリューズ、そしてラグのないクイックリリースシステムはレザーの下に隠されている。本物の見どころはエナメルダイヤルだ。純白のグラン・フー エナメルは、完璧につくるのがきわめて難しいことで知られており、20時間以上にもわたる重ね塗りと900°Cまでの複数回の焼成が必要となる。

 デザインはオリジナルに比べて明らかに簡潔化されており、複雑機構を排してエナメル加工を主役に据えた、よりクリーンでグラフィカルな仕上がりとなっている。レッドとブルーの目盛りは複数回の焼成工程で転写され、視覚的なインパクトを生み出している。ラッカー仕上げのシリンジ針とブルーの秒針は、オリジナルのレイアウトを反映している。内部には自動巻きCal.LFT MA01.02が搭載され、ローズゴールドのローターと控えめに刻まれたジュネーブ・シールを備え、パワーリザーブは45時間を誇る。




我々の考え
このモダンなモントレーが登場したとき、それは無名のなかから現れたのではなく、すでに注目を浴びていた。しかしルイ・ヴィトンがこの時計を復活させるために選んだ方法は、一般的なヴィンテージの復刻版とは一線を画している。モントレーは、再発見されるのを待っていた隠れた傑作ではない。それは80年代後半の風変わりな実験であり、新しい世代のコレクターやファッション業界のインサイダーのあいだで最近になってようやくその地位を確立したのだ。メゾンは単なるノスタルジーに頼るのではなく、この復刻を正確で自己完結したジェスチャーとして捉え、カルト的な人気モデルに敬意を表すると同時に、ブランドが現在メゾンで実行できることを誇示する方法として見せているのだ。



 戦略的に見て、これは新たなプロダクトラインの幕開けでも、大衆向けの製品を市場に投入するものでもない。これは意図的で厳密に管理された“1度きり”のリリースである。「私たちにとって、これは過去へのオマージュです。しかし現代的なやり方で」と、ルイ・ヴィトンの時計部門ディレクターであるジャン・アルノー(Jean Arnault)氏は語る。「実現の方法はいくつもありましたが、私たちはラ・ファブリク・デュ・タンがもし今これを新しい時計として作るとしたら、どうするかを考えたのです。つまりエナメルダイヤル、自動巻きムーブメント、すべてを自社製で仕上げるという方法に決めたのです」。また彼はこのプロジェクトがマニュファクチュールの実力を誇示するだけでなく、先にこの時計を見出した人々への敬意を表す意味もあると強調する。「ヴィンテージピースを手に入れたコレクターたちに敬意を示したいのです。それは私たちへの多大な信頼を必要とするからです」と彼は付け加えた。
 もちろん、今の時計業界がヴィンテージ復刻モデルであふれていることは誰もが承知している。多くのブランドがノスタルジーに大きく依存し、過去の名作を再発して、その温かい感情や実績あるデザインに支えられた人気を再び手にしようとしているのだ。だが、モントレーはそうしたパターンからわずかに外れた位置にある。オリジナルのモデルは商業的に成功したわけでもなく、ルイ・ヴィトンのウォッチメイキングの未来を示唆する存在でもなかった。それはむしろ、時代の空気を映し出した風変わりな寄り道のようなものであり、近年になってようやくクールな評価を獲得した時計なのである。メゾンはここで歴史を書き換えようとしているわけではない。むしろ、カルト的な人気を誇る1本を正確かつていねいに扱っているのだ。わずか188本という限定数が示すように、これは大量復活ではない。研ぎ澄まされた、意図的なリバイバルなのである。


基本情報
ブランド: ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)
モデル名: モントレー(Monterey)
型番: QAA03 

直径: 39mm
厚さ: 10.7mm
ケース素材: 18Kイエローゴールド
文字盤色: ホワイトグラン・フー エナメル ダイヤル、レッドとブルーの目盛り
インデックス: プリントされたアラビア数字とレイルウェイトラック
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: クイックリリースシステム付きブラックレザーストラップ、18KYG製ピンバックル

ムーブメント情報
キャリバー: LFT MA01.02(自社製自動巻き)
機能: 時・分表示、センターセコンド
直径: 31mm
厚さ: 4.2mm
パワーリザーブ: 45時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 4Hz(2万8800振動/時)
石数: 28
クロノメーター認定: なし
追加情報: ローズゴールド製マイクロローター、ラ・ファブリック・デュ・タン ルイ・ヴィトンで製造および仕上げ、ジュネーブ・シール

サザビーズが、ジョージ・ダニエルズとロジャー・スミスの時計

オークションハウスは誇張表現が大好きである。そのため私自身を含めて、ほとんどの人は敬遠しがちだ。秋のオークションシーズンが近づき、各オークションハウスが今年の目玉商品を発表する今、私のひそかな関心を抑えるために懐疑心は自然と高まっている。しかし今回のマーケティングの話には反対しがたい。サザビーズが今発表したのは、決定的にではないにせよ、オークションハウス史上最も重要な腕時計の組み合わせのひとつだからだ。

この秋、オークションに出品される歴史と友情によって表裏一体となったふたつの時計とは、ジョージ・ダニエルズ最後のミレニアムウォッチと、ダニエルズの名を冠し、彼の弟子であるロジャー・スミス氏が製作した最初のコーアクシャルアニバーサリーウォッチだ。私は時計にまつわる個人的なストーリーが好きだからかもしれないが、この発表に興奮しないわけにはいかなかった。このふたつの時計はともに、現代史において最も重要なふたりの英国人時計師の軌跡をたどることになるものだ。

「このふたつの時計にはたくさんの思い出が詰まっており、私の初期のキャリアと、かつて、そして今なお私に大きなインスピレーションを与えてくれる指導者であるジョージ・ダニエルズとの関係を象徴しています。このふたつの時計は、私とジョージの物語を締めくくるにふさわしいものです」とスミス氏は言う。「ひとつは私がまだ未熟だった頃に彼の厳しい指導のもとで製作した最初のモデルであり、もうひとつは、それから10年以上経て製作したコーアクシャルアニバーサリーシリーズの最初のモデルです。この時計は、ジョージのために私がデザインし製作したもので、私自身の成長と技術の証明であり、彼との見習い期間を終えた証でもあります」と続ける。

ある年、スミス氏はダニエルズの時計を欲しがり、ボーナスの代わりにミレニアムを要求した。それは取るに足らない頼みではなかった。ミレニアムシリーズは、ジョージ・ダニエルズ愛用の腕時計となったプロトタイプ1本を除き、1998年から2001年にかけてわずか60本しか製造されなかったからだ。スミス氏はこの要求だけでなく、文字盤に彼の名前を入れることも許可され、ダニエルズ唯一のダブルシグネチャーウォッチとなり、ロジャー・スミスのブランド名を冠した初の腕時計となった。彼のフルネームはホワイトゴールドのケースバックにも記されている。

今や高い評価を得て長いウェイティングリストを抱えるスミス氏が、自身の工房を成長させるために2008年にこの時計を売却せざるを得なかったことは少々心が痛むことではあるが、あの資金注入がなかったら彼がここまで成長できたかどうかは誰にもわからない。そしてサザビーズが提供する2番目の時計を手にすることもなかったかもしれない。

イエローゴールドのコーアクシャルアニバーサリーウォッチは、2010年にジョージ・ダニエルズの依頼で製作された。ミレニアムの発表からこの依頼を受けるまで10年近くを要し、スミス氏はダニエルズの“愛すべき子ども”ともいうべきコーアクシャルエスケープメントを改良し、ダニエルズの名を冠した時計に新バージョンを加えることをダニエルズから許可された。ダニエルズは他人の時計づくりに感心することはほとんどなかったため、それ自体が偉業のように感じられた。また、このシリーズのためにスミス氏が特別に設計した、まったく新しい英国製キャリバーも採用されている。全部で47本が製造される予定で、ダニエルズが亡くなったにもかかわらず、現在も製造が続けられている。しかしこの時計は最初に製造されたものである。

サザビーズは、ロジャー・スミス氏がこれらの時計の重要性について語る素晴らしいビデオを作成した。また、これには巡回プレビューやオークションに先駆けて実物を見ることができるまでに十分な多くのディテールショットも含まれている。私は、彼が自分がまだ“未熟”だったと認めた頃の作品と、その後のアニバーサリー作品の作品を比較してみたいと思っているため、両方の時計がニューヨークを経由することを願っている。 それを同時に行える機会はあまりないからだ。

WG製のミレニアムウォッチは100万スイスフラン(約109万ドル、日本円で約1億6175万円)以上、YG製のコーアクシャルアニバーサリーウォッチは50万スイスフラン(約54万6000ドル、日本円で約8105万円)以上と予想されている。叶うとは思えないが、これらの時計が一緒に保管されるのを見ること以上に、私はスミス氏の手に戻るのを見たいと思っている。スミス氏の懐中時計 No.2は今年、フィリップスで490万ドル(日本円で約6億8925万円)で落札され、英国時計の記録を打ち立てたばかりだ。どちらかの時計が単独でこの記録を塗り替えることはないだろうが、一緒の場合はどうだろう? それは誰にもわからない。

フルメタルのG-SHOCK GM-B2100をベースに、エイジド加工でヴィンテージテイストに仕上げた限定モデル。

PORTERとのコラボレーションで誕生した本作をPORTER OMOTESANDOからご紹介。

「落としても壊れない丈夫な時計」というたった一行の企画書から始まったG-SHOCK。1983年のファーストモデル誕生以来、タフネスを追求し続けたG-SHOCKは今年40周年を迎えました。この特別な年を盛大に祝うため、カシオからすでに数多くのG-SHOCK 40周年記念モデルがリリースされています。いよいよフィナーレが近づくなか、G-SHOCKからPORTERとのエキサイティングな新作コラボレーションモデルが登場しました。

ベースとなったのは八角形ベゼルが特徴の2100シリーズのフルメタルモデルであるGM-B2100です。フルブラックのエイジドIP加工が施されたスティール製のケースとブレスレットやフォティーナ仕様の針の組み合わせによって、使い込まれたヴィンテージウォッチのような雰囲気に仕上げられています。初代DW-5000と同じレッド、ブルー、ゴールドのカラーリングが採用されており、ローキーにG−SHOCKの40周年を体現しています。

新作のGM-B2100VF-1AJR(左)とDW-5040PG-1JR(右)、どちらもG-SHOCK 40周年記念モデル。

光の当たり方によってインデックスは様々な色に変化する。

そしてもちろんPORTERとのコラボレーションによる特別なコレクションバッグも提供されます。素材には、イギリス空軍パイロット用の耐水服素材をルーツに誕生したベンタイルとよばれる高機能素材を取り入れ、G-SHOCK同様にタフな作りです。GM-B2100の八角形のデザインからインスピレーションを得て、バッグの底面も同様に八角形にデザインされています。小さめのラップトップやタブレット端末を収納しても十分余裕のある日常使いしやすいサイズです。

さらに中には時計を最大5本まで収納できる専用のウレタンフォームも付属するので、これまでコレクションしてきたG-SHOCKを収納するのもいいし、すべてを埋めるように次の1本を手に入れるのもアリでしょう。

PORTERとのコラボレーションによる特別なコレクションバッグ。


G-SHOCKとPORTERのロゴが並ぶ。


バッグのなかには型押しされたレザーのG-SHOCK40周年のロゴ。


5本のG-SHOCKを収納してみるとこのような感じに。

 G-SHOCKとPORTERのコラボレーションは、これまでにもいくつもリリースされていますが、どれも高い人気を誇るコレクターズアイテムとなっています。僕たちは2年前にも訪れた表参道にある吉田カバン初の直営店PORTER OMOTESANDOを訪れ、そんな特別なG-SHOCKとバッグを実際に手に取る機会を得ました。より詳しい解説を上のビデオからぜひご覧ください。


G-SHOCK GM-B2100VF-1AJR 40th ANNIVERSARY PORTER Collection BAG SET

ケース: エイジドIP加工が施されたステンレススティール、49.8 × 44.4 × 12.8 mm / 165 g、ムーブメント: 世界6局の標準電波を受信し、時刻を自動修正するマルチバンド6、タフソーラー、その他: 高輝度なフルオートダブルLEDライト。価格: 18万4800円(税込)

取扱店舗: PORTER OMOTESANDO、PORTER TOKYO、PORTER OSAKA、および吉田カバンオフィシャルオンラインストアにて11月10日(金)から(吉田カバンオフィシャルオンラインストアでは12時頃から発売)。

カルティエは、長年にわたりオープンワーク仕様の懐中時計・腕時計を膨大な数販売してきたが、

1917年、カルティエ タンクが初めて発表されて以来、何年にもわたって実にさまざまなバリエーションやサブバリエーションが誕生したが、驚くべきことにこれらの種類のほとんどがスケルトナイズ、またはオープンワークされたムーブメントを使用していない。確かにカルティエは、長年にわたりオープンワーク仕様の懐中時計・腕時計を膨大な数販売してきたが、オープンワークのタンクの登場は、2004年に発表されたタンク ルイ カルティエ ノクタンビュール(コレクション・プリヴェ・カルティエ・パリ、通称CPCPの一部)までなかった。その後、2013年にタンク MC スケルトン、2014年にはタンク LC サファイア スケルトンが発表され、いずれも高い評価を得て大成功を収めている(その年にはアイコニックなクラッシュのスケルトンバージョンも加わり、同様に評論家のあいだで話題となったが、もちろんそれはタンクではない)。タンクの誕生100周年を記念して、かなりの数の新作が発表されているなか、今回は1921年にカルティエが初めて販売したタンクの初期モデル、タンク サントレ初となるスケルトンバージョンを紹介しよう。


タンク サントレ スケルトンは、史上3番目となるオープンワークムーブメントを搭載したタンクである。

タンク サントレは長年にわたり、いくつかの異なるバリエーションを発表してきたが、これまでにその超劇的に細長いケース(“サントレ”とは、曲がっている、または湾曲したという意)にオープンワークキャリバーを収めたことはなかった。その理由はおそらく、美しい外観の効果を得るために、ケースによくフィットし、ケースの湾曲に沿う長方形のムーブメントが本当に必要だったからだろう。それ以前のモデルでは、おそらく丸型ムーブメント、またはムーブメントサプライヤーによる既存のストックから作成された、標準的なレクタンギュラー型またはトノー型ムーブメントを用いていたのだろう。このような極端なムーブメント形状は、どのムーブメントサプライヤーのカタログにも含まれていなかっただろうし、ひとつの時計のために生産するには、おそらく法外的に高価だったと思われる。しかし新しいタンク サントレ スケルトンは、この目的のために特別に意図されたムーブメントを搭載しており、供給キャリバーよりもはるかに満足のいく結果を得ることができた。


“サントレ”とは曲がった、湾曲したという意味で、ケース形状のことを指している。

1920年代のサントレのオリジナルバージョンでは、7、8、9リーニュのムーブメントを搭載した比較的長いモデル、もしくは小振り(最も長いケース寸法を越えて)なモデルに対応する、いくつかの異なるムーブメント径が用意されていた(なお、リーニュとは伝統的な時計製造における単位のことを指す。1リーニュは約2.2558mmに相当し、この単位は現代の時計製造、そしてボタンやリボン作りにも生かされていた)。またヴィンテージサントレには、非常に特徴的なミニッツトラックがあった。ヴィンテージのカルティエ タンク サントレ、1921年製。

ミニッツトラックは基本的に改良された長方形だ。写真のようにオープンワーク加工されたサントレ(Cal.9917 MC)のために製造されたムーブメントは、このミニッツトラックを手巻きムーブメントの構造基盤として使用している。

一般的に、カルティエはオープンワークムーブメントをカスタム(クラッシュのスケルトンバージョンは、私が今まで見た腕時計のなかで最も魅惑的なもののひとつである)して、デザイン的に優れたものを作りあげている。結果サントレ スケルトンのコンポーネント配置は、論理的で美しいものとなっている。すべてはミニッツトラック型の上部ブリッジ(裏蓋から見える部分。時計技師にとって、ムーブメントの裏側から見える部分が上部であることをお忘れなく)と、文字盤を兼ねた地板によって固定されている。ゼンマイ香箱が上部の主な要素で、中央にメインのムーブメントと針、6時位置にテンプを配している。これはコルム ゴールデンブリッジやJLCのCal.101などのムーブメントに見られるのと同じ、直列構造である。文字盤のエレメントをムーブメント構造と一体化させることは、カルティエのモダンなオープンワークウォッチのトレードマークでもある(例えば、タンク MC スケルトンは、ダイヤル側のムーブメントプレートの12、3、6、9時位置がそれぞれローマ数字の形をしている)。

表側のゼンマイ香箱と文字盤。


手前は巻き上げや時刻合わせを担うキーレス部分。


テンプとヒゲゼンマイ、レバー、ガンギ車は、テンプ右側にある独立したハの字型のブリッジの下にある。

ケースサイズは縦46.3mm×横23mm×厚さ7.96mmとかなり縦長だが、湾曲されたケースとムーブメントのおかげで装着性はかなり高い。最初の取材でお伝えしたようにサントレ スケルトンは、ここで掲載しているピンクゴールド、プラチナ、プラチナ&ダイヤモンドの3種類で用意される(PGとプラチナがそれぞれ100本、ダイヤモンドセットが25本だ)。PGモデルの価格は6万1000ドル(編集注記:当時の販売価格は税込712万8000円)とかなり高価だが、カルティエのより高級なオープンワークタンク(サファイア スケルトン製)の価格とほぼ同じである。最終的な価格設定には多くの要素が絡んでいるが、250本の時計にしか使用されない、単一モデル専用ムーブメントにプレミアを期待するのは妥当だろう。

ご覧のように、ラグからラグまでのサイズが46.3mmであるにもかかわらず、手首の上では非常にエレガントな印象を与えてくれる。もちろん、過去100年間に製造されたわずか4本のオープンワークタンクのうちのひとつを着用するという楽しみ方もある(これが事実であることに驚かされるが、カルティエには確認済みだ)。本作、オープンワークのクラッシュ、そしてタンク サファイア スケルトン、この3本をローテーションで持っていたら、超高価だが楽しめるだろう。

ゼニス クロノマスター オリジナル 1969に、ブラックダイヤルの新作“イービル” エル・プリメロを追加

ゼニスはステンレススティール製の初代エル・プリメロ A386をクロノマスター オリジナルとして復活させた。シルバーの3色ダイヤル、38mm径、4時30分位置のデイト窓、そしてもっとも大きな特徴である自動巻きエル・プリメロキャリバーを搭載したクロノマスター オリジナルは、ゼニスのレギュラーカタログのなかでもっとも忠実にオリジナルのエル・プリメロを再現している。これは初の自動巻きクロノグラフに敬意を表したものである。

数カ月前、ゼニスはエル・プリメロに初めてブラックの3色ダイヤルを導入した。伝統的なシルバーダイヤルに対応するブラックダイヤルの“イービル” エル・プリメロであり、まるで昔から存在していたかのようにも見える時計だ。確かに“単なる新ダイヤル”なのだが、クロノマスター オリジナルの堅実なアップデートでもあり、この発表を受けて私はエル・プリメロと時間を過ごし、競合するクロノグラフのなかでエル・プリメロがどのような位置にあるかを考える機会を得た。

新しいクロノマスター オリジナルは、私たちがよく知っている既存のエル・プリメロのスペックを受け継ぎ、伝統的な3色のインダイヤルにブラックダイヤルを追加しただけのモデルだ。私にとって、エル・プリメロのケースは手首にフラットに装着でき、手首に強い存在感を与えるものだ。ひとつ問題があるとすれば、特に手首の中心からずれている場合、すぐに手首からラグがはみ出してしまうことだ。

ダイヤルはマットなブラックで、クロノマスター オリジナルのラインが持つ正統派の美学を忠実に再現している。現代的なクロノマスター スポーツのラッカー仕上げのブラックよりも光沢が抑えられている。3色のインダイヤルがブラックを引き立てており、この組み合わせは2023年よりも前に試すべきだったかもしれないと思うほど見事だ。ゼニスは賢明にも、4時30分のデイト窓をブラックのディスクで統一した。我々は4時30分のデイト窓を非難するのが大好きだが、エル・プリメロはA386に忠実にデイトが配置されているため、これから先も決して批判されることはないだろう。好むと好まざるとにかかわらず、エル・プリメロには歴史があるのだ。

クロノマスター オリジナルは、ゼニスが2021年にクロノマスター スポーツで本格採用した自動巻きキャリバー、エル・プリメロ 3600を搭載している。この時計が特別な存在であることを示唆するタキメーターは1/10秒刻みで表示されており、クロノグラフ針は10秒に1度ダイヤルを1周する。タキメーターの目盛りひとつひとつが、10分の1秒を表しているのだ。これを弄るのは楽しいし、理論的には物事の時間を超正確に計ることができる。これは私がクロノグラフを作動させている動画だ。

私が愛を込めて“イービル” エル・プリメロと名付けたのは、白ダイヤルをいっそう引き立てる黒ダイヤルのユニバーサル・ジェネーブ、とりわけニーナリント・コンパックスに対するイービル・ニーナ、そしてエリック・クラプトンに対するイービル・クラプトン・トリコンパックスを思い起こさせるからだ。ユニバーサル・ジュネーブはカタログ上で、これらの時計を並べて掲載していた。3色のインダイヤルを持つイービル エル・プリメロをゼニスはこれまでに提供したことはなかったが、今回のリリースはその可能性がかつてあったかのように感じさせる。

クロノマスター オリジナルの希望小売価格は、カーフスキンのレザーストラップが115万5000円、3連リンクのスティール製ブレスレットが125万4000円(ともに税込)となっている。3連のブレスレットは中ゴマがポリッシュ仕上げになっており、つけ心地もとてもいいが、特にクラスプには改良の余地がある。十分快適なブレスレットだが、クロノマスター オリジナルのようなヴィンテージ風の時計には大型の競合メーカーから明確なインスピレーションを得たものではなく、同じようにヴィンテージ風のブレスレットがあってもよかったかもしれない。

クロノマスター オリジナルのクラスプとブレスレットは違和感なく装着できるが、この時計のヴィンテージ風の雰囲気にはそぐわない。

クロノマスター オリジナルのラインナップに加わったこのモデルは、これまで我々が求めてやまなかったエル・プリメロであり、完璧ではないもののゼニスのカタログに加わった素晴らしいモデルである。ゼニスは2023年、パイロットコレクションのアップデートを行うなど近代化を進めているが、ゼニスが歴史に裏打ちされた機能をダブルダウンさせているのを見るのも素晴らしいことだ。ゼニスが2021年に発表したシルバーの3色ダイヤルや逆パンダダイヤルと並び、エル・プリメロの選択肢のなかで中核的なコレクションになっている。一方、クロノマスター スポーツは、スーザン・G・コーメン財団を支援する最近の限定版クロノマスター スポーツ ピンクなどのように、現代的なカラーと相性のいいモダンなクロノグラフのオプションを提供している。

“イービル” エル・プリメロに対するコレクターの意見
クロノマスター オリジナルを私の16cm周りの手首に装着。

私は新しいエル・プリメロについて、本物のヴィンテージコレクターの意見を聞きたいと思った。そこでヴィンテージ ゼニスのコレクターであり、Tortoise Watchesとして貴重な時計を販売している友人のアーウィンド・ジャンド(Arwind Jhand)氏に連絡を取った。

「1969年当時のダイヤルをほうふつとさせる、オールドスタイルのフォントが使われている点が気に入っています。“36,000 VpH”が3行目に追加されていなければなおよかったのですが。クロノグラフのダイヤルに文字を追加してよりテクニカルに見せたいというブランドの気持ちはわかりますが、一部の時計マニアは別として、誰が数字が示すものによって過小評価するのでしょうか?」。12時位置に“Zenith”と“El Primero”だけを配したシンプルさもあって、彼は2019年に発表されたゼニス × フィリップスの限定コラボモデルを現代における最高の復刻ダイヤルとして挙げた。

オリジナルのA386にも“Automatic”と“Chronograph”という余計な3、4行目の文字があった。デイトナの領域まで踏み込んでいるようでもあるが、ここはジャンド氏に同意せざるを得ない。基本的に、近ごろの時計のダイヤルは文字が少ないほうが望ましい。

最後にジャンド氏は、マットなブラックダイヤルは80年代のチタン製ポートロイヤル(Ref.95.0102.418)を思い出させると付け加えた(ちなみに、ゼニスのヴィンテージリファレンスは過小評価されている)。

クロノグラフ業界における競争

最近、私はタグ・ホイヤーのカレラ“グラスボックス”と1週間をすごした。クラシカルな雰囲気が漂い、39mm径で希望小売価格80万8500円(税込)というこのモデルは、その記事で紹介したほかの低価格で伝統を感じさせるクロノグラフの数々と同様に、クロノマスター オリジナルに代わる確かな選択肢である。もちろん、そのどれもが「ムーンウォッチを買えばいいだけだ」というありきたりな意見と競合する。タグ・ホイヤーのCal.TH20-00やブライトリングのCal.B01のような競合メーカーの自社キャリバーがパワフルなスペックを提供する一方で、エル・プリメロ 3600はつい2年前に発売されたときよりも競争が激化しているとはいえ、その馬力と血統を色濃く受け継いでいる。新しいクロノマスター オリジナルと数日間過ごした後も、そのクロノグラフ針が10秒ごとにダイヤルを高速で動き回るのを見る純粋な喜びは尽きることがなかった。

A386のように最先端の時計製造とクラシカルな外観が融合しているモデルがあるからこそ、私は何度でもエル・プリメロを求めるのだ。

ゼニス クロノマスター オリジナル 1969(Ref.03.3200.3600/22.M3200、03.3200.3600/22.C908)。ケース径38mm、厚さ13mm(ラグトゥラグは47mm)、1/10秒計測クロノグラフ、60時間パワーリザーブの自動巻きキャリバー、エル・プリメロ3600を搭載。希望小売価格は、レザーストラップ115万5000円、ブレスレット125万4000円(ともに税込)。詳細はゼニスのWebサイトでクロノマスター オリジナル 1969を参照。

カルティエ タンクが初めて発表されて以来、何年にもわたって実にさまざまなバリエーションやサブバリエーションが誕生したが、。

カルティエは、長年にわたりオープンワーク仕様の懐中時計・腕時計を膨大な数販売してきたが、オープンワークのタンクの登場は、2004年に発表されたタンク ルイ カルティエ ノクタンビュール(コレクション・プリヴェ・カルティエ・パリ、通称CPCPの一部)までなかった。その後、2013年にタンク MC スケルトン、2014年にはタンク LC サファイア スケルトンが発表され、いずれも高い評価を得て大成功を収めている(その年にはアイコニックなクラッシュのスケルトンバージョンも加わり、同様に評論家のあいだで話題となったが、もちろんそれはタンクではない)。タンクの誕生100周年を記念して、かなりの数の新作が発表されているなか、今回は1921年にカルティエが初めて販売したタンクの初期モデル、タンク サントレ初となるスケルトンバージョンを紹介しよう。

タンク サントレ スケルトンは、史上3番目となるオープンワークムーブメントを搭載したタンクである。

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タンク サントレは長年にわたり、いくつかの異なるバリエーションを発表してきたが、これまでにその超劇的に細長いケース(“サントレ”とは、曲がっている、または湾曲したという意)にオープンワークキャリバーを収めたことはなかった。その理由はおそらく、美しい外観の効果を得るために、ケースによくフィットし、ケースの湾曲に沿う長方形のムーブメントが本当に必要だったからだろう。それ以前のモデルでは、おそらく丸型ムーブメント、またはムーブメントサプライヤーによる既存のストックから作成された、標準的なレクタンギュラー型またはトノー型ムーブメントを用いていたのだろう。このような極端なムーブメント形状は、どのムーブメントサプライヤーのカタログにも含まれていなかっただろうし、ひとつの時計のために生産するには、おそらく法外的に高価だったと思われる。しかし新しいタンク サントレ スケルトンは、この目的のために特別に意図されたムーブメントを搭載しており、供給キャリバーよりもはるかに満足のいく結果を得ることができた。“サントレ”とは曲がった、湾曲したという意味で、ケース形状のことを指している。1920年代のサントレのオリジナルバージョンでは、7、8、9リーニュのムーブメントを搭載した比較的長いモデル、もしくは小振り(最も長いケース寸法を越えて)なモデルに対応する、いくつかの異なるムーブメント径が用意されていた(なお、リーニュとは伝統的な時計製造における単位のことを指す。1リーニュは約2.2558mmに相当し、この単位は現代の時計製造、そしてボタンやリボン作りにも生かされていた)。またヴィンテージサントレには、非常に特徴的なミニッツトラックがあった。ヴィンテージのカルティエ タンク サントレ、1921年製。

ミニッツトラックは基本的に改良された長方形だ。写真のようにオープンワーク加工されたサントレ(Cal.9917 MC)のために製造されたムーブメントは、このミニッツトラックを手巻きムーブメントの構造基盤として使用している。

一般的に、カルティエはオープンワークムーブメントをカスタム(クラッシュのスケルトンバージョンは、私が今まで見た腕時計のなかで最も魅惑的なもののひとつである)して、デザイン的に優れたものを作りあげている。結果サントレ スケルトンのコンポーネント配置は、論理的で美しいものとなっている。すべてはミニッツトラック型の上部ブリッジ(裏蓋から見える部分。時計技師にとって、ムーブメントの裏側から見える部分が上部であることをお忘れなく)と、文字盤を兼ねた地板によって固定されている。ゼンマイ香箱が上部の主な要素で、中央にメインのムーブメントと針、6時位置にテンプを配している。これはコルム ゴールデンブリッジやJLCのCal.101などのムーブメントに見られるのと同じ、直列構造である。文字盤のエレメントをムーブメント構造と一体化させることは、カルティエのモダンなオープンワークウォッチのトレードマークでもある(例えば、タンク MC スケルトンは、ダイヤル側のムーブメントプレートの12、3、6、9時位置がそれぞれローマ数字の形をしている)。

表側のゼンマイ香箱と文字盤。手前は巻き上げや時刻合わせを担うキーレス部分。テンプとヒゲゼンマイ、レバー、ガンギ車は、テンプ右側にある独立したハの字型のブリッジの下にある。

ケースサイズは縦46.3mm×横23mm×厚さ7.96mmとかなり縦長だが、湾曲されたケースとムーブメントのおかげで装着性はかなり高い。最初の取材でお伝えしたようにサントレ スケルトンは、ここで掲載しているピンクゴールド、プラチナ、プラチナ&ダイヤモンドの3種類で用意される(PGとプラチナがそれぞれ100本、ダイヤモンドセットが25本だ)。PGモデルの価格は6万1000ドル(編集注記:当時の販売価格は税込712万8000円)とかなり高価だが、カルティエのより高級なオープンワークタンク(サファイア スケルトン製)の価格とほぼ同じである。最終的な価格設定には多くの要素が絡んでいるが、250本の時計にしか使用されない、単一モデル専用ムーブメントにプレミアを期待するのは妥当だろう。

ご覧のように、ラグからラグまでのサイズが46.3mmであるにもかかわらず、手首の上では非常にエレガントな印象を与えてくれる。もちろん、過去100年間に製造されたわずか4本のオープンワークタンクのうちのひとつを着用するという楽しみ方もある(これが事実であることに驚かされるが、カルティエには確認済みだ)。本作、オープンワークのクラッシュ、そしてタンク サファイア スケルトン、この3本をローテーションで持っていたら、超高価だが楽しめるだろう。

タンクの詳細はカルティエ公式ウェブサイトをチェックだ。

本記事の以前のバージョンでは、最初にスケルトン化されたタンクが、“タンク MC スケルトン”であると誤って記述されていた。カルティエの著名なコレクターであり専門家であるジョージ・クレイマー(George Cramer)氏の計らいにより、2004年に発表された“タンク ルイ カルティエ ノクタンビュール”こそが最初のスケルトンモデルであると、メールで教えてくれた。

ロレックスの最高峰に立つ、3・6・9インデックスを備えたエクスクルーシブなサブマリーナー。

いつしか時計オークションの中心的存在として注目されるようになったヴィンテージロレックス。

デイトナほどではないにせよ、サブマリーナーにおいても、ごくまれに例外的なモデルが出品されることがある。オークション史上最も高値をつけたサブマリーナーは、2018年6月、クリスティーズの時計オークションに出品された、エクスプローラーをほうふつとさせる3・6・9のアラビアインデックスダイヤルのRef.6538だ。重要なパーツであるベゼルがなく、さらにダイヤルの劣化も激しく、お世辞にも褒められるコンディションではなかったにもかかわらず、106万8500ドル(当時の日本円で約1億1860万円)という脅威的な記録を残した。

“億”超えを果たしたエクスプローラーダイヤルのRef.6538

2018年の1月に開催されたクリスティーズオークションで106万8500ドル(当時の日本円で約1億1860万円)という落札価格をマークした3・6・9のアラビアンインデックスダイヤルのRef.6538。©️Christies

ヴィンテージロレックスに明るい方ならご存じだと思うが、Ref.6538といえば、映画『007』シリーズで初代ジェームス・ボンドがタキシードに合わせていた(と目されている)、通称“ボンドサブ”と呼ばれるコレクターズアイテムである。このモデルは1955~59年頃に製造されたという説が有力で、フランス語で特許を意味する“BREVET”が入る8mm径のリューズをはじめ、サブマリーナーが作り出した特徴的なディテールを散見できる。実際にダイビングで使われた個体が多いことや、夜光塗料にラジウムを使用していたケースが多いため、コンディションのいい個体を探し出すことは困難を極めるものの、市場での価格については仮に状態が悪かったとしても少なく見積もっても2000万円はくだらない。

そんなRef.6538のダイヤルバリエーションのひとつに、エクスプローラーと酷似した3・6・9のインデックスを持つダイヤルが存在する。オンライン上で目にすることは可能かもしれないが、実機を手に取ること、ましてや商談までたどり着くことは、いまやほぼ不可能に近いモデルとしてコレクターに知られている。サブマリーナーのコレクターは世界中に大勢いるわけだが、それゆえこのモデルを所有するオーナーはごくわずか。だからこそ、クリスティーズのオークションで1億超えという記録が生まれたのである。

Ref.6200を中心にしたエクスプローラーダイヤルの勢力図

エクスプローラーダイヤルを持つRef.6200。2013年11月に開催されたオークションで、48万5000スイスフラン(当時の日本円で約5190万円)で落札された。©️Christies

そもそもエクスプローラーダイヤルを備えたサブマリーナーとは、一体どんな背景や価値を持つモデルなのか? 謎の多いモデルであるため、諸説を交えて概要を紹介しておこう。

該当するモデルはいくつかあるが、最も有名なのは“キング・オブ・サブマリーナー”と呼ばれるRef.6200だろう。製造期間は1954~55年で、300本ほど製造されたと噂されている。そのすべてがエクスプローラーダイヤルであることに加えて、8mm径のリューズを初採用し、サブマリーナー史上初めて200m防水を実現したモデルとしても知られており、ダイヤルは5種類近いバリエーションがある。

こちらはエクスプローラーダイヤルのRef.5513。2023年5月のオークションで、5万6700スイスフラン(当時の日本円で約870万円)で落札された。

このほか1950年代のサブマリーナーでは、Ref.6538と5510でも一部の個体でエクスプローラーダイヤルが確認されているが、特に後者は幻級のレアさを誇るという。1960年代前半に製造されたRef.5512や5513のエクスプローラーダイヤルも大変魅力的なコレクターズアイテムだ。どちらもさまざまなダイヤルのバリエーションがある。エクスプローラーダイヤルであることに加えて、夜光塗料にトリチウムを使用した証だとされる“アンダーバー”の表記や“PCG(ポインテッドクラウンガード)”と呼ばれるリューズガードなど、この時代ならでは魅力的なディテールを備えている。どちらも希少性は非常に高く、並のポール・ニューマンモデルの比ではない。それゆえ“サブマリーナーの終着点”にあたるコレクションとして探し続けているコレクターは多い。

国内のメガコレクターが所有する驚愕のRef.6538

いよいよ本題に入ろう。ここで紹介するRef.6538は、日本有数のヴィンテージロレックスのメガコレクターが所有するコレクションであり、あらゆる点で前述のRef.6538を上回る、まさに奇跡のような1本だ。この個体を販売した国内有数のヴィンテージウォッチ専門店リベルタスのスタッフ、中嶋琢也氏は次のように語る。

「普通のボンドサブなら世界中探せば見つかると思いますが、エクスプローラーダイヤルとなるとまったく話が違ってきます。Ref.6538のエクスプローラーダイヤルは、Ref.6200やRef.5510と違い、防水表記がレッドで記されている(レッドデプスと呼ばれる)ため、瞬時に見分けられます。数年前、香港と国内の有力コレクター数名が当店に集まる機会がありました。そのときもRef.6200は見ることができましたが、Ref.6538のエクスプローラーダイヤルは誰も持っていませんでした。ちなみに該当するすべてのリファレンスを含めて、これまでにうちが扱ったエクスプローラーダイヤルのサブマリーナーは10本にも満たないと思います。この個体はコンディションのよくないものが多いサブマリーナーのなかでは上々の状態だと思います。もともと、この個体は国内のコレクターから出てきたものですが、当時の時点でポール・ニューマンモデルよりも遥かに高価でした。その価格に驚いたコレクターが多かったことをよく覚えています。それでもオーナーの背中を押して紹介した理由は、この機会を逃すと買えないモデルだったからです。例えば、手巻きデイトナなら資金力があれば、ある程度のコレクションを揃えることは可能だと思いますが、サブマリーナーのコレクターズアイテムとなると本当に数が少ないため、収集の難易度がまったく違います。しかもRef.6538のエクスプローラーダイヤルになると、その希少性はトップクラスですね」。

中嶋氏の話からも察するに、世界のどこかにまだ見ぬRef.6538のエクスプローラーダイヤルが眠っているのかもしれない。ただし、その頂まで登ることは、世界的なコレクターでさえ諦めざる得ないほどハードルが高いことは確かなようだ。

エクスプローラーダイヤルが持つ独自性
多くのヴィンテージロレックスのコレクターにとって、エクスプローラーダイヤルのサブマリーナーは憧れ以外の何物でもない。つまるところ、その魅力の本質はどこにあるのだろうか。中嶋氏は言う。

「サブマリーナーに限らず、ロレックスのマーケティングはずば抜けていて、いつの時代も他社をリードしてきました。そして、どのモデルも新しい時代を創ろうというエネルギーが満ち溢れてるように思えます。サブマリーナーも然りで、シンプルなドレスウォッチが主流だった1950年代に、スポーツウォッチ、しかもどこにもない独自のデザインを生み出したことには先見性が感じられますよね。最大のマーケットであった北米を中心に、出荷国ごとに時計のデザインをアレンジしていたこともロレックスの見事な戦略でした。 ロレックスの3・6・9のダイヤルはどれも人気があります。真相は定かではありませんが、エクスプローラーダイヤルはイギリスでとても人気があって出荷されていたと言われています。エアキングのRef.5500のエクスプローラーダイヤルはその典型例ですし、Ref.5512やRef.5513のエクスプローラーダイヤルもこの流れを汲むモデルだという説が有力です。このようなバックストーリーもおもしろいですが、エクスプローラーダイヤルのサブマリーナーの魅力は、その希少性の高さはもちろんのこと、独自性のあるデザインに集約されていると思います。だからこそ多くのコレクターが魅了されるのではないでしょうか?」

かつては希少なヴィンテージロレックスの多くが集まっていた日本のヴィンテージマーケット。現在、そのような時計の多くは海外のコレクターが所有していることが多いが、日本国内のコレクターのなかにも、海外勢に負けず劣らずの希少な逸品を所有しているオーナーは少なくない。実はほかにも希少なヴィンテージロレックスを撮影しているが、それはまた別の機会に紹介しよう。

これはベル&ロスが“未来に向けた時計づくり”を目指した最新モデルだ。

視認性、機能性、防水性、高精度の4つの基本理念を掲げるベル&ロスから、ブランドの代表作とも言えるBR 03シリーズをベースにした限定スケルトンモデルが登場した。本作は、一目でベル&ロスとわかる特徴的なスクエアケースをファセット加工し、文字盤とムーブメントの主要部分を立体的にスケルトナイズしているのがポイントだ。

新作は、敵からのレーダーに探知されないよう設計されたステルス航空機をもとにしている。ステルスの“見えないものを見る”というコンセプトをさらに推し進めるべく、文字盤をスケルトンにし、またキャリバーには目を見張るような3Dスケルトン加工を施した。

42×43.7mmのマットブラックカラーのケースは、高い耐傷性を持つセラミック製。針、リューズ、ベルトに至るまですべてブラックで統一し、マッシブな仕上がりにしている。ケース内にはベル&ロス自社製の自動巻きBR-CAL.383を収め、199万1000円(税込)で提供される。

ファースト・インプレッション

この新作は“サイバーシリーズ”に属すると言えば、マニアはピンとくるだろうか? 2020年に投入された同シリーズは、立体的なスカルを文字盤全面に配した、大胆でアヴァンギャルドな限定生産モデルを展開している。これまでに計8本のスカルモデルが発売されているが、今回の新作にはスカルの姿はない。

しかし私は、今回のモデルを見たとき、いままでスカルの背面でクロスしていた骨だけがそのまま残ってスケルトナイズされたように感じた。スカルの面影がわずかに残っているのだと。

本作は“未来に向けた時計づくり”というビジョンのもとつくられており、人気のBR 03ラインが持つ力強さとアイデンティティはそのままに、そのアイコニックなデザインを一新するのが目的だという。その結果BR 03のデザインを、サイバーシリーズのこれまでのグラフィックと未来的なコード(スケルトン)と組み合わせることにしたと言うが、なるほど、これまでにないルックスなのに雰囲気はサイバーシリーズそのままだ。私が感じた面影はそれだった。ブランドが目指したコンセプトは成功していると思う。

未来に向けた時計づくりのもと、今後ベル&ロスからは何が発売されるのか、楽しみで仕方ない。ちなみに、ベル&ロスが目指す未来とは異なり恐縮だが、私は機能はシンプルに、デザインは派手にという精神でいるため、今後も私の精神に沿ったスカルモチーフモデルを出して欲しいところだ(たまにでいい!)。

基本情報
ブランド: ベル&ロス(Bell & Ross)
モデル名: BR 03 サイバー セラミック(BR 03 CYBER Ceramic)
型番: BR03-CYBER-CE

直径: 42×43.7mm
ケース素材: マットブラックセラミック
文字盤: スケルトン
インデックス: 風防の下にブラック 光沢処理を施したメタルインデックス
夜光: グレーのスーパールミノバ(針のみ)
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: ブラックラバーストラップ、マットブラックPVD加工のステンレス製ピンバックル

ムーブメント情報
キャリバー: BR-CAL.383
機能: 時・分
パワーリザーブ: 約48時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 25
クロノメーター: なし
追加情報: 製造ムーブメント5年保証

価格 & 発売時期
価格: 199万1000円(税込)
発売時期: 発売中
限定: あり、世界限定500本

ユーティリティ

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