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2025年09月16日の記事は以下のとおりです。

ロレックスの最高峰に立つ、3・6・9インデックスを備えたエクスクルーシブなサブマリーナー。

いつしか時計オークションの中心的存在として注目されるようになったヴィンテージロレックス。

デイトナほどではないにせよ、サブマリーナーにおいても、ごくまれに例外的なモデルが出品されることがある。オークション史上最も高値をつけたサブマリーナーは、2018年6月、クリスティーズの時計オークションに出品された、エクスプローラーをほうふつとさせる3・6・9のアラビアインデックスダイヤルのRef.6538だ。重要なパーツであるベゼルがなく、さらにダイヤルの劣化も激しく、お世辞にも褒められるコンディションではなかったにもかかわらず、106万8500ドル(当時の日本円で約1億1860万円)という脅威的な記録を残した。

“億”超えを果たしたエクスプローラーダイヤルのRef.6538

2018年の1月に開催されたクリスティーズオークションで106万8500ドル(当時の日本円で約1億1860万円)という落札価格をマークした3・6・9のアラビアンインデックスダイヤルのRef.6538。©️Christies

ヴィンテージロレックスに明るい方ならご存じだと思うが、Ref.6538といえば、映画『007』シリーズで初代ジェームス・ボンドがタキシードに合わせていた(と目されている)、通称“ボンドサブ”と呼ばれるコレクターズアイテムである。このモデルは1955~59年頃に製造されたという説が有力で、フランス語で特許を意味する“BREVET”が入る8mm径のリューズをはじめ、サブマリーナーが作り出した特徴的なディテールを散見できる。実際にダイビングで使われた個体が多いことや、夜光塗料にラジウムを使用していたケースが多いため、コンディションのいい個体を探し出すことは困難を極めるものの、市場での価格については仮に状態が悪かったとしても少なく見積もっても2000万円はくだらない。

そんなRef.6538のダイヤルバリエーションのひとつに、エクスプローラーと酷似した3・6・9のインデックスを持つダイヤルが存在する。オンライン上で目にすることは可能かもしれないが、実機を手に取ること、ましてや商談までたどり着くことは、いまやほぼ不可能に近いモデルとしてコレクターに知られている。サブマリーナーのコレクターは世界中に大勢いるわけだが、それゆえこのモデルを所有するオーナーはごくわずか。だからこそ、クリスティーズのオークションで1億超えという記録が生まれたのである。

Ref.6200を中心にしたエクスプローラーダイヤルの勢力図

エクスプローラーダイヤルを持つRef.6200。2013年11月に開催されたオークションで、48万5000スイスフラン(当時の日本円で約5190万円)で落札された。©️Christies

そもそもエクスプローラーダイヤルを備えたサブマリーナーとは、一体どんな背景や価値を持つモデルなのか? 謎の多いモデルであるため、諸説を交えて概要を紹介しておこう。

該当するモデルはいくつかあるが、最も有名なのは“キング・オブ・サブマリーナー”と呼ばれるRef.6200だろう。製造期間は1954~55年で、300本ほど製造されたと噂されている。そのすべてがエクスプローラーダイヤルであることに加えて、8mm径のリューズを初採用し、サブマリーナー史上初めて200m防水を実現したモデルとしても知られており、ダイヤルは5種類近いバリエーションがある。

こちらはエクスプローラーダイヤルのRef.5513。2023年5月のオークションで、5万6700スイスフラン(当時の日本円で約870万円)で落札された。

このほか1950年代のサブマリーナーでは、Ref.6538と5510でも一部の個体でエクスプローラーダイヤルが確認されているが、特に後者は幻級のレアさを誇るという。1960年代前半に製造されたRef.5512や5513のエクスプローラーダイヤルも大変魅力的なコレクターズアイテムだ。どちらもさまざまなダイヤルのバリエーションがある。エクスプローラーダイヤルであることに加えて、夜光塗料にトリチウムを使用した証だとされる“アンダーバー”の表記や“PCG(ポインテッドクラウンガード)”と呼ばれるリューズガードなど、この時代ならでは魅力的なディテールを備えている。どちらも希少性は非常に高く、並のポール・ニューマンモデルの比ではない。それゆえ“サブマリーナーの終着点”にあたるコレクションとして探し続けているコレクターは多い。

国内のメガコレクターが所有する驚愕のRef.6538

いよいよ本題に入ろう。ここで紹介するRef.6538は、日本有数のヴィンテージロレックスのメガコレクターが所有するコレクションであり、あらゆる点で前述のRef.6538を上回る、まさに奇跡のような1本だ。この個体を販売した国内有数のヴィンテージウォッチ専門店リベルタスのスタッフ、中嶋琢也氏は次のように語る。

「普通のボンドサブなら世界中探せば見つかると思いますが、エクスプローラーダイヤルとなるとまったく話が違ってきます。Ref.6538のエクスプローラーダイヤルは、Ref.6200やRef.5510と違い、防水表記がレッドで記されている(レッドデプスと呼ばれる)ため、瞬時に見分けられます。数年前、香港と国内の有力コレクター数名が当店に集まる機会がありました。そのときもRef.6200は見ることができましたが、Ref.6538のエクスプローラーダイヤルは誰も持っていませんでした。ちなみに該当するすべてのリファレンスを含めて、これまでにうちが扱ったエクスプローラーダイヤルのサブマリーナーは10本にも満たないと思います。この個体はコンディションのよくないものが多いサブマリーナーのなかでは上々の状態だと思います。もともと、この個体は国内のコレクターから出てきたものですが、当時の時点でポール・ニューマンモデルよりも遥かに高価でした。その価格に驚いたコレクターが多かったことをよく覚えています。それでもオーナーの背中を押して紹介した理由は、この機会を逃すと買えないモデルだったからです。例えば、手巻きデイトナなら資金力があれば、ある程度のコレクションを揃えることは可能だと思いますが、サブマリーナーのコレクターズアイテムとなると本当に数が少ないため、収集の難易度がまったく違います。しかもRef.6538のエクスプローラーダイヤルになると、その希少性はトップクラスですね」。

中嶋氏の話からも察するに、世界のどこかにまだ見ぬRef.6538のエクスプローラーダイヤルが眠っているのかもしれない。ただし、その頂まで登ることは、世界的なコレクターでさえ諦めざる得ないほどハードルが高いことは確かなようだ。

エクスプローラーダイヤルが持つ独自性
多くのヴィンテージロレックスのコレクターにとって、エクスプローラーダイヤルのサブマリーナーは憧れ以外の何物でもない。つまるところ、その魅力の本質はどこにあるのだろうか。中嶋氏は言う。

「サブマリーナーに限らず、ロレックスのマーケティングはずば抜けていて、いつの時代も他社をリードしてきました。そして、どのモデルも新しい時代を創ろうというエネルギーが満ち溢れてるように思えます。サブマリーナーも然りで、シンプルなドレスウォッチが主流だった1950年代に、スポーツウォッチ、しかもどこにもない独自のデザインを生み出したことには先見性が感じられますよね。最大のマーケットであった北米を中心に、出荷国ごとに時計のデザインをアレンジしていたこともロレックスの見事な戦略でした。 ロレックスの3・6・9のダイヤルはどれも人気があります。真相は定かではありませんが、エクスプローラーダイヤルはイギリスでとても人気があって出荷されていたと言われています。エアキングのRef.5500のエクスプローラーダイヤルはその典型例ですし、Ref.5512やRef.5513のエクスプローラーダイヤルもこの流れを汲むモデルだという説が有力です。このようなバックストーリーもおもしろいですが、エクスプローラーダイヤルのサブマリーナーの魅力は、その希少性の高さはもちろんのこと、独自性のあるデザインに集約されていると思います。だからこそ多くのコレクターが魅了されるのではないでしょうか?」

かつては希少なヴィンテージロレックスの多くが集まっていた日本のヴィンテージマーケット。現在、そのような時計の多くは海外のコレクターが所有していることが多いが、日本国内のコレクターのなかにも、海外勢に負けず劣らずの希少な逸品を所有しているオーナーは少なくない。実はほかにも希少なヴィンテージロレックスを撮影しているが、それはまた別の機会に紹介しよう。

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